平成29年1月から、過去5年以内に同一税目で重加算税が賦課されると、次回からは納付すべき税額に10%上乗せされることになった。つまり、重加算税が35%だから、併せて45%になるわけだ。調査の立会いの現場では、「仮装」又は「隠ぺい」の成立時期についても重要になるだけに、しっかりと抑えておきたいものだ。

税金のペナルティともいえる「重加算税」。その用件は、国税通則法に「『隠ぺい』し又は『仮装』したところに基づき、納税申告書を提出していたとき(過少申告)、又は法定申告期限までに納税申告書を提出しなかったとき(無申告)に課税される」旨を規定している。ということは、この「隠ぺい」又は「仮装」という行為がなければ重加算税は賦課されない。
この重加算税だが、平成29年1月1日以後の法定申告期限が到来する国税から、加算税の賦課割合が変更されたほか、加算税の加重措置というさらなるペナルティが設けられた。具体的には、無申告または「仮装」又は「隠ぺい」に基づく期限後申告等をした場合、そこから過去5年以内に同一税目について無申告加算税又は重加算税の賦課決定がされていれば、無申告加算税又は重加算税の額は、その期限後申告等に基づいて納付すべき税額にプラス10%上乗せするというもの。
適用は平成29年1月1日以後に申告期限が到来する国税で、重加算税の賦課用件である「隠ぺい」又は「仮装」の成立時期については、原則として法定申告期限が基準となると考えられる。というのも、通法第68条第1項から第3項によれば、「隠ぺい」又は「仮装」したところに基づき納税申告書を提出していたときに重加算税が賦課されることになるから、重加算税の賦課要件としての「隠ぺい」又は「仮装」の行為は、原則として、「納税申告書を提出したとき」又は「法定申告期限の経過のとき」になると解釈できる。つまり、重加算税は、「隠ぺい」又は「仮装」したところに基づき納税申告書を提出していたときに賦課されるため、法定申告期限後の「隠ぺい」又は「仮装」行為は原則、重加算税の対象にはならないと考えられる。
名古屋地裁判決でも、「隠ぺい」又は「仮装」について「国税通則法68条該当の所為の有無の判断は、確定申告時を基準としてなされるべきものであることは、多言を要しない」(昭和55年10月13日判決)としている。
国税OB税理士によれば、「重加の制度見直し以降、課税当局は調査で重加を指摘するケースが増えてきている」との声も聞かれる。税理士としては、「仮装」「隠ぺい」の考え方のほかにも、適用時期なども再度確認しておきたいところだ。