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【コラム】IBM裁判から学ぶ雑学

「租税回避か否か」が争われたIBMと国税当局との争い。最終的に国税敗訴でIBMに軍配が挙がった。

詳細については、【国税当局 IBMの租税回避スキーム崩せず 法人税法132条「行為計算の否認」の限界】に掲載されているが、この租税回避スキームはすでに使えない。というのも、この節税スキームは、平成22年度税制改正で「100%グループ内法人のみなし配当発生時の譲渡損益非計上(法法61の2⑯)」として封じられたからだ。

再発防止の観点から法律を整備したことは誰もが納得するだろうが、一方で、法整備したことで、国税当局のこの裁判に対する自信のなさも垣間見れる。司法も、法整備されてしまえば、後々の影響を考えずに判決を下すことができる。IBMに軍配を上げても、この件は個別事例ということになるわけだ。国税贔屓ではないが、裁判の進め方として考えた場合、これは正しかったのか・・・

さて、今回の裁判では、法人税法132条「行為計算の否認」の考え方も参考になる点が多く、不謹慎ながら税の専門家は大いに勉強になる事例だったと思う。

私のような一般人にとっては、IBMという会社を勉強するきっかけになったのが収穫だ。日本IBMは、有限会社アイ・ビー・エム・エイ・ピー・ホールディングスの100%子会社だったのを知ったのは、この裁判があったから。日本IBMといえば、コンピュータ業界の巨人として君臨。今でこそ売上は1兆円を割っているが、それでも売上は約9千億円もある。それが有限会社の子会社とは。法人の作り方としては会計上のことなので、会計人や経営者にとっては珍しいことではないが、一般人にはなかなか理解できないかもしれない。そして、日本IBMの現社長が、プロ野球選手であった与那嶺要氏のご息子であるポール与那嶺氏であることを知ったのも、この裁判があったからだ。

(関連記事)国税当局 IBMの租税回避スキーム崩せず 法人税法132条「行為計算の否認」の限界

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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