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【企画特集】アーリーステージ・中小企業のための お金で得する経営術  第2回 オーナー社長の負担は法人税、所得税のダブルパンチ

第1回の「会社にかかる税金」に加え、オーナー社長個人の所得にも所得税がかかってくる。オーナー社長からすれば、「会社のお金も自分のお金も変わらない」とい気持ちもあり、ダブルで税金を納税している気分だが、法人組織にしたからには、個人事業主と違い、経営者といえども会社から雇われているに過ぎないことを肝に銘じておきたい。

当たり前のことだが、会社の場合は、社長のお金(給与など)と会社のお金は別に分けて考えなくてはならない。法律的には、オーナー社長といえども会社から給与をもらう「給与所得者」だからだ。とはいうものの、会社の税金を納税した上、個人でもまた別に納税するという、「二重に税金を納めている気分」というのが正直なところだろう。会社が小さいうちは、会社のお金が足りなくなれば、社長個人のお金でやり繰りし、会社の銀行通帳も社長個人の銀行通帳も関係なく経営していることが多いからだ。
そのため、オーナー社長が節税を考えた場合、会社の税金だけでなく、自分自身の給与所得を含めて考えることが不可欠になる。

配当で報酬を受け取っているときの税金

最近では、国の方針として法人税は下げ、所得税は上げているため、法人にお金をプールし、オーナー社長の給与はあまり上げないという人も少なくない。第1回で説明したが、法人税は現在、約30%程度だから、課税所得が900万円~1800万円以下で同程度、それ以上なら所得税は40%になるため、法人税の方がトータルで考えると、納税額は少ないことになる。
もしオーナー社長が役員報酬を株の配当で受け取っていたら、配当には所得税が課せられる。それも、まず源泉所得税が課せられた後、原則として他の所得と合算して確定申告が必要になる。

源泉所得税の計算は、上場企業の場合は、配当金額×20.315%、上場企業以外なら配当金額の20.42%。
源泉徴収だけで完結する場合もあるが、それは①上場企業からの配当金、②上場企業以外の場合は、1回の配当金額が『「10万円×配当計算期間の月数÷12」の金額より低いとき』だ。役員報酬を配当でもらっていれば、②が適用される。

そうなると、会社が儲けても法人税として約30%の納税のほか、社長個人としても配当金にかかる源泉所得税(税引後の利益約70%のうち約20%)を納税するという、“税金のダブルパンチ”という状況になる。たとえば、利益のすべてを配当に回したと仮定すると、法人、個人を合わせて税金だけで、会社利益の約44%を納める計算になる。こうなると、オーナー社長としては、「稼いでも半分も税金で持ってかれる」という気持ちになるだろう。

役員報酬を給与でもらっている場合の税金

一方、オーナー社長個人の役員報酬については、「給与」として受け取るケースも多いと思う。この場合も、社長個人の所得に税金がかかるので理解しておく必要がある。
たとえば、社長の給与を月100万円、年間1200万円で設定していたら、個人として所得税、住民税を納税する。社長も社員も税金の計算方法は変わらないわけだ。

計算方法はというと、報酬から所得控除という控除が受けられるわけだが、所得控除の代表的なものとして「基礎控除」「給与所得控除」がある。基礎控除はすべての人に適用される控除項目で、一律38万円とされており、給与所得控除は会社から給料をもらう社員やアルバイトなどに適用され、その収入によって控除額が変動する。
年収1200万円の給与所得者の「給与所得控除後の金額」は、図表の黄色の部分だ。

つまり、平成29年分~令和元年分の年収1200万円の給与所得控除後の金額は、
1200万円 ― 220万円 = 980万円。

この収入から給与所得控除を差し引いた金額を「給与所得」というのだが、ここからさらに扶養控除者、社会保険料控除などを差し引くことができる。

たとえば、扶養控除38万円、社会保険料控除が120万円だったとすると、所得税額の計算は、
給与所得 980万円―「扶養控除38万円+社会保険料控除120万円+基礎控除38万円」=784万円(課税所得)
この784万円に所得税率をかけて、所得税を計算する。

経営者は現在の利益を把握しておく

「課税所得 784万円 × 税率23% - 控除額63万6000円 = 所得税額116万7200円」

つまり、この社長の所得税は116万7200円ということになる。
住民税は 若干所得税とは計算式や基礎控除額などが違うが、そこから計算した課税所得に、10%かけ、均等割りが加わる。たとえば東京都なら現在、「都民税1500円」「市町村民税(特別区民税)3500円」の5000円が加わるので約82万円となる。
ということで、この社長の場合であれば、所得税と住民税を合わせて、税金として約198万7200円を納税することになる。

いずれにしても、オーナー社長としては、会社が儲けても、法人税、所得税などでかなりの税金を納めている気分は抜けないだろう。そのため、売上だけでなく、税金対策なども念頭に経営をしていくことが必要なのだ。

【この特集は  ALTOA(アルトア)とKaikeiZineの共同企画です】

著者: KaikeiZine編集部

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