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【企画特集】アーリーステージ・中小企業のための お金で得する経営術  第3回 会社にかかる税金を知る ~実際の税金はいくらになるのか・・・~

経営者になると、会社の売り上げばかり気になるが、当然ながら儲かっていれば納めるべき税金も多くなる。第1回では会社にかかる税金について紹介したが、今回は、現在の利益額を把握し、どれだけ税金がかかるのか解説する。

多くの経営者は、利益が出ているかどうかは肌感覚で分かっているが、利益が出ているときほど安心して正確な数字を把握していない。しかし、利益が出ていればこそ、会社には法人税、法人事業税、法人住民税などの税金がかかる。(参照:「第1回 会社にかかる税金と節税」)

だからこそ、儲けていれば無理なく利益を圧縮する、いわゆる“節税”を考えておくべきなのだ。そのためにも、できれば半期に一度は仮決算を組んでおきたい。理想を言うなら、四半期に一度は決算を組むように努力すれば、会社の財務戦略も大きく変わってくるはずだ。
細かな税額計算は、経理部門や顧問税理士にお願いするにしても、会社の利益を把握したら、どれだけ税金がかかるのか、経営者なら基礎知識は身に付けておきたいところだ。

会社の利益にはどれだけの税金がかかってくるのか。それぞれの税目で用いる税率は、税法上の「大企業が中小企業」か「所在地のある地方自治体」「利益額」などによって変わってきる。これらすべて合わせて税金を納めることになる。

会計での利益を税法の利益(所得)に調整する

さて、会社の利益はどのように算出されるかと言うと、「売上-経費」で求められる。ちなみに法人税では、各事業年度の所得金額は、その事業年度の「益金の額」から「損金の額」を控除して計算される。

「売上」 - 「経費(損失)」 = 「利益」
「益金の額」 - 「損金の額」 = 「所得金額」

「益金の額」とは、原則として、資産の販売収入、受贈益その他資本等取引以外の取引に係るその事業年度の収益の額とされる。
具体的には、商品の販売収入、固定資産などの資産の譲渡収入、預金などの利子収入など。また、「損金の額」とは、原則として、その事業年度の売上原価、販売費・一般管理費、損失の額で資本等取引以外の取引に係るもので債務の確定したもの。
具体的には、商品などの売上原価、譲渡した固定資産の譲渡原価、販売費・一般管理費、支払利息などだ。
法人税の所得の計算方法は、企業会計において利益を計算する方法と基本的に一緒。ただ、現実のビジネスの世界では、利益の額と所得の額は一致しない。それは、会計では会計原則に沿って利益を計算するが、法人税では、課税上の不公平や財政政策の障害になること会計上の原則に規制をかけることがあるからだ。そこで、両者が一致しない部分は、利益の修正を行って所得の金額を計算する。これが「申告調整」だ。つまり、確定した決算による当期利益と所得の金額との差を調整する。具体的には、法人税の申告書上で決算書上の利益に加算・減算を行って所得の金額を求める。
少しややこしくなってきたが、事例を持って税額計算を簡単に説明する。

<法人税>

税法上の大法人は、資本金1憶円以上。そして、それ以下の中小企業には、優遇措置があり、それが年間所得「800万円」基準だ。
(1)資本金1億円までの法人・・・・・・・・・・・優遇措置あり
年間所得800万円以下の部分=税率15%
年間所得800万円超の部分 =税率23.40%
(2)資本金1億円超の法人・・・・・・・・・・・・ 23.40%

たとえば、資本金500万円の従業員5人の法人が、売上8千万円、経費を7千万円、利益(法人の税務調整後の所得「課税所得金額」)が1千万円だったとする。
法人税は、
課税所得800万円までの税額 「800万円 × 15%  = 120万円」
課税所得800万円相超の税額 「200万円 × 23.4% = 46万8千円」
で、「120万円 + 46万8千円 = 166万8千円」となる

<地方法人税>

地方法人税は、法人数が多い地域と少ない地域で、納税額に偏りが生じないように設計されている税制で、法人税の納付義務がある法人はすべて納付しなければならない。「課税標準法人税額」に4.4%を乗じて計算する。
課税標準法人税額 × 4.4% = 地方法人税額
166万8千円 × 4.4% = 73万392円 → 100円未満切り捨てて7万3300円
地方法人税の納付書に税額7万3300円と記入して税務署または各種金融機関で納付。

<法人事業税>

課税標準法人税額と同じく、「課税所得金額」に税率を乗じて「事業税所得割額」を計算(以下図表参考)。

課税所得400万円までの金額
400万円 × 3.4% =13万6000円
課税所得年400万円を超え年800万円以下の金額
400万円 × 5.1% = 20万4000円
800万円を超える金額
200万円 × 6.7%  = 13万4千円
合計   47万4000円

<地方法人特別税>

地方法人特別税は、法人事業税と併せて申告納付する。税金の名称に「地方」とついていることや、地方法人特別税の計算の際に都道府県の税額計算をする第6号様式で行っているため、地方税と混同して間違われがちだが、地方税体系の構築が行われるまでの間の暫定措置として設けられた法人の国税である。従来の法人事業税の一部を国税として徴収し、人口及び従業員数(2分の1ずつ)を基礎として国が都道府県に財源を再分配する。これにより、地域間で財政力に格差があるのを縮小することを目的としている。
令和元年(2019年)10月1日開始事業年度より、消費税率引き上げに合わせて廃止予定で、代わりに特別法人事業税が新設される。
計算方法は、
法人事業税 × 43.2% = 地方法人特別税
47万4000円 × 43.2% = 20万4768円

<法人都道府県民税>

法人税額に税率3.2%を乗じて計算するが、資本金の額または出資金の額が1億円以下で、かつ、法人税割の課税標準となる法人税額が年1千万円以下の法人等については、税率3.2%が適用される。
「課税標準法人税額」 × 3.2% + 均等割 = 法人都道府県民税法人税額
166万8千円 × 3.2% =5万3376円 → 100円未満切り捨てて5万3300円

・均等額
所得に関係なく定額で決められているのが「均等割」。納税額は資本金等の額によって異なり、赤字であったとしても納付しなければならない。

上記表より、資本金が500万円なので、税額は2万円 となる。

ということで、
5万3300円 + 2万円 = 7万3300円

<法人市町村民税>

法人税法の規定によって計算した課税標準法人税額に12.1%を乗じて計算。
「課税標準法人税額」 × 9.7% + 均等割 = 法人市町村民税法人税割額
166万8千円 × 9.7% = 16万1796円 → 100円未満切り捨て 16万1700円

・均等割
標準税率は従業者数や資本金等の額により、年額5万円から300万円の間で9段階に定めている。所得に関係なく定額で決められているのが「均等割」で、所得が赤字であったとしても納付しなければならない。

資本金が500万円ということで、5万円が均等割。
つまり、16万1700円 + 5万円 =21万1700円
が法人市町村民税となる。

つまり、税額について総括すると、法人税法等は、課税所得金額をベースに課税されるが、課税所得金額が赤字でも事業税を除く法人都道府県民税と法人市民税には均等割額があるため、一定額を納付しなければならない

事例のケースでの合計額は、

この会社は、利益1千万円に対して、税金が270万5068円かかることが分かる。ざっくり言えば、法人では、最低でもこの程度の税金がかかるわけで、経営者としては、概算として課税所得金額の30%弱が税金として納めることになると理解しておく必要があるわけだ。

<関連記事>

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<概要>
アルトア株式会社(東京・千代田区、代表取締役=岡本浩一郎)
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「アルトア オンライン融資サービス【ALTOA】」を提供。会計データとAIを活用した新たな与信モデルを開発し、インターネットを通じて小規模事業者向けに、簡単手続き、保証人・担保なし、早期融資のサービスを提供する。
https://www.altoa.jp/

 

著者: KaikeiZine編集部

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