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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:短期滞在者免税② 「183日」のカウントの仕方

短期間の海外出張の場合、短期滞在者免税の適用を受けることができれば、勤務地国での納税が免除されます、この短期滞在者免税の要件の一つは、勤務地での滞在期間が183日を超えないこととなっていますが、「183日」のカウントの方法は、租税条約により異なります。そのため、必ず租税条約を確認する必要があります。

海外から来日した外国人が日本国内で勤務したことにより給与所得を得た場合には、原則として国内源泉所得に該当し、日本の所得税の対象となります。
しかし、日本との間で租税条約を締結している場合には、一定の要件を満たせば、勤務地国での課税が免除されます。これを一般に「短期滞在者免税」といいます。
一般的な短期滞在者免税の要件は次の通りです。

① 勤務地での滞在期間が、183日を超えないこと
給料が、外国の企業から支払われること(給料が勤務地国の企業から支払われていないこと)
給料を勤務地国にある支店等が負担しないこと(給料が勤務地国の支店等の損金に算入されていないこと)

注意を要するのは、①の要件にある「183日」のカウントの仕方です。このカウントの仕方は、租税条約によって異なります。

【ケース1:暦年単位で判定する場合】

当社では、韓国子会社の社員Aを8カ月に予定で、日本で研修を受けさせることとし、28年9月1日に来日しました。Aの研修期間中の給与は韓国子会社から支給されます。この場合、Aは短期滞在者免税の適用を受けることはできるでしょうか。

(回答)
日韓租税条約では、要件①の「183日」のカウントの仕方について、『報酬の受給者が当該暦年を通じて合計183日を超えない期間、当該他方の締約国内に滞在すること。』と規定されています。すなわち、滞在期間の判定は、暦年ベースで行うこととなります。
本ケースの社員Aの場合には、各年の滞在日数は183日を超えていませんので、上記①の要件を満たしています。②及び③の要件も満たしていますので、短期滞在者免税の適用を受けることができ、日本での課税は免除されます。

なお、短期滞在者免税の適用を受けるためには、「租税条約に関する届出書」(短期滞在者の報酬・給与に対する所得税及び復興特別所得税の免除)(様式7)の提出が必要となります。

このケースのように暦年単位で判定する国としては、韓国、カナダ、中国、フィリピン、ドイツ、ベトナムなどがあります。

【ケース2:継続する12カ月を通じて判定する場合】

シンガポール人Bは、平成27年11月1日に7カ月の予定ンでシンガポール法人Sから大阪支店に転勤となり、平成28年5月30日に帰国しました。Bの給与はシンガポール法人Sから支払われています。この場合、Bは短期滞在者免税の適用を受けることはできるでしょうか。

(回答)
日星租税条約では、要件①の「183日」のカウントの仕方について、『報酬の受領者が継続するいかなる12カ月の期間においても合計183日を超えない期間当該他方の締約国内に滞在すること。』と規定されています。

これに従って判定すると、日本支店での勤務の日数は211日間(平成27年の61日と平成28年の150日の合計)間であり183日を超えていますので、上記①の要件を満たさず、短期滞在者免税の適用を受けることはできません。

Bの給与については源泉徴収することはできませんので、Bは、自ら平成27年分及び平成28年分について、20.42%の税率により確定申告しなければなりません。

このケースのように継続する12カ月で判定する国としては、シンガポール、アメリカ、イギリス、フランスなどがあります。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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