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女性記者のひとりごと vol.67 無意味な「150万円の壁」

所得税の「150万円の壁」.....無意味な壁に物申す!

友達が先日、勤務先にこう言ったそうな。
「パートのシフトは控除の範囲内でお願いします」
彼女は小学校の教師だ。
小学校教師ってパートで出来るの!?
…という驚愕の事実はさておき
注目したいのは、教育現場にも所得税の「壁」が影響していること。

彼女は国立大学で教員資格を取り、
卒業後は小学校教師としてフルタイム勤務。
結婚・出産後は、自分の出来る範囲でキャリアを活かそうと
パート教師を受け入れている学校でシフト制で教えている。
その彼女が先日、年契約更新時に言い放ったのが「控除の範囲内で」というセリフだ。

所得税の配偶者控除38万円を受ける条件として知られる「103万円の壁」は
去年から「150万円の壁」にリニューアルした。
だから「控除の範囲内」ということはイコール
「年間収入150万円まででヨロシク」ということなのかと思いきや、
彼女いわく「130万円まででヨロシク」という意味なのだという。
ここで出てくる「130万円」というのは、社会保険が扶養の範囲内になる上限だ。
税金と社会保険それぞれにある壁はリンクしていないので
最大限支出を減らしたいと考える場合、もっとも低い壁に照準を合わせることになる。
政府がドヤ顔で作った所得税の「150万円の壁」、意味ないじゃん。

実は、「壁」はもう一つあって、
社員に「配偶者手当」を出している会社の多くが
支給基準を所得税に合わせて「103万円」としているケースが多いこと。
今回、所得税の壁が「150万円」に引き上げられたことに合わせ
配偶者手当の支給基準も引き上げられればいいのだが
こればっかりは民間企業の内部規定なので政府はいじれない。

「働き方改革」、「パート主婦の社会進出」などと謳い
血税を使ってひねり出した「150万円の壁」は
ま〜〜〜ったく意味をなしていないことになる。
税と社会保障は一体で考えないとダメだということを、安倍サンは解っているのだろうか。
実はちゃんと解っていて、
「パート主婦は解ってないだろうから、とりあえず聞こえのいい150万円の壁を作っちゃお」
なんて考えているのではないだろうか。
「150万円の壁」の無意味さに多くの人が気づいていることを訴え、
そのあり方に異論を唱え、抜本的な見直しを訴えなければダメだ。
小煩い納税者をもっともっと増やさなければ…。

このテーマは本コラムで何度か書いたが、憤懣やるかたないのでまた書いてしまった。ボツにされないことを願うばかりだ。

著者: 川瀬かおり

記者/税金ライター

社会部を根城とする税金オタクの女性記者。財務省・国税庁を中心に取材活動を展開すること20余年。事件モノを得意とし、裁判所にも日参する。税金ネタをこよなく愛する一方で、税制の隙間や矛盾を見つけては叩きまくるサディスティックな一面も。趣味は夜討ち朝駆けとクラブ通い。

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