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【企画特集】アーリーステージ・中小企業のための お金で得する経営術  第4回 経営者が検討すべき「節税」と「租税回避」「脱税」は全く違う

会社を経営していく上で、節税を検討していくことは重要だ。しかし、節税の枠を超えて「脱税」となれば犯罪。では「節税」と「脱税」の境界線は・・・。また、最近では「租税回避」という概念も存在する。今年8月には、電子部品大手の京セラ(京都府・京都市)が租税回避地にある子会社の所得を巡り、国税局から約14億円の申告漏れを指摘された。今回は、経営者として押さえておくべき「節税」「脱税」「租税回避」の違いについて解説する。

税金の難しい判断・処理は税の専門家である税理士にお願いするにしても、経営者も「節税」か「脱税」か「租税回避」なのかは判断をできるようにしておきたい。経営者なら、ビジネスを発展させるために「節税」は検討すべき項目だからだ。

会社の税金を安く済ます方法は“2つしかない”。つまり、「会社の利益を減らすか、経費を増やすか」だ。

第1回「会社にかかる税金と節税」で解説したが、会社にかかる税金は、会社の利益に対して課税されるもので、利益が少なければ納める税金は少なくなる。
基本的に、経営者なら節税だけの目的で売り上げを減らしながら、利益を減らすことはまず考えないだろう。そうなると、必要な経費を使って利益を減らし、税金を安く抑えることが常道と言うことになる。

「節税」か「脱税」か「租税回避」か、を考えるとき、このバランス感覚が重要な要素になる。言葉の概念だけでこれらを捉えると、法解釈のグレーゾーンでつまずくことが少なからずあるからだ。

ビジネスにおいて「節税」は不可欠

ビジネスをするうえで「節税」は必須判断だ。できるだけ無駄な税金を排除して、会社にお金を残すことを考えなければならない。いくら法人税率が低くなってきたからといっても、利益の約3分の1は税金として納めなくてはならない。たとえば、5千万円の利益が出ていれば、約1500万円を納めることになるが、節税で3千万円に利益を圧縮していれば、税金は約900万円。その差600万円にもなる。更に経費として2千万円を会社経営に回せていることを考えると、節税できているかどうかは戦略上、大きな経営判断と言うことになる。

では「節税」とは、どういった概念なのだろうか。

簡単に言ってしまえば、「節税」は法律などによって整備された税金を減らす行為。たとえば、中小企業が仕事で必要なパソコンを20万円で購入したとすると、取得価額が30万円未満である減価償却資産は、いわゆる「少額減価償却資産の特例」を活用して、一定の要件のもとに、20万円全額経費で落とすことができる。

社用車(普通自動車)を240万円で購入したとするならば、6年で償却することになり、年間40万円を経費で落とし、残りを翌年以降で落としていくことが決められている。
もっと分かりやすいのが、取引先との会食などで5万円使ったら、交際費として経費で落とすことが可能。中小企業であれば年間800万円までか、売り上げの2分の1までを交際費として損金処理できる。

こうして、法律の乗っ取り適正に利益を減らしていくのが「節税」であり、課税当局も認めている行為なのだ。

「節税と脱税は紙一重」は大きな勘違い!!

「節税と脱税は紙一重」「行き過ぎた節税の延長が『脱税』」と言う人もいるが、節税と脱税は全く違う。そもそも「脱税」は、納税を逃れるために売り上げを隠したり、不正な方法により税金を逃れる行為だ。そのため、脱税ともなれば、検察によって起訴され、裁判で有罪判決となれば犯罪者になる。

国税局の査察部、いわゆる“マル査”と言われる部署が携わる案件であり、マル査は、検察に告発、起訴させることを最終目的に動く。最近では、青汁王子こと、健康食品会社「メディアハーツ」(東京)の元社長の三崎優太氏が架空の広告宣伝費を計上するなどして約1億8千万円を脱税したとして、法人税法違反などの罪に問われ、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)、同社に罰金4600万円(同5500万円)を東京地裁が言い渡した。

起訴され有罪判決になったのは、意図的に多額の売り上げを除外していたことが理由。課税当局も血も涙もない人たちではない。初犯で悪質性が低い場合や知識不足によって結果的に課税逃れになったケースでは、告発・起訴まではいかない。脱税犯はあくまで、「言い逃れのできない不正行為」を犯していることが大前提。では、「言い逃れのできない不正行為」だが、課税当局では「仮装及び隠蔽(かそうおよびいんぺい)」を行ったと判断した場合、悪質な行為ととらえている。脱税犯でなくても「仮装及び隠蔽」が認められれば、税金のペナルティ措置である重加算税が課せられる。通常の税金に35~45%(さらに5%上乗せがある場合)が上乗せされ、損金処理できない非常に重い課税上のペナルティだ。「仮装及び隠蔽」と判断されるのは、売り上げを隠していたり、経費を捏造して不正に水増しするなどの行為が該当する。

それゆえ、経理のうっかりミスとは全く違う。「節税」における税務処理で、課税当局から否認されても、脱税ではない。よくニュースで取り上げられ目にする、「〇×会社が国税局から課税漏れを指摘」というものは、節税のために損金経理していたものが認められなかったことから、追加で課税されたというもの。そのため、企業側のコメントで「課税当局との見解の相違で追徴課税となった。すでに納税は済ませている」など記載されているケースが多い。

GAFAで有名になった「租税回避」

租税回避は、法律の網を巧みに利用しながら、税金を安くする行為。もともと法律に従った内容の行為であることから、課税当局としても否定するにしても否定しにくい。そもそも課税は、「租税法律主義」という考え方の基に行われ、法律に基づいて行われる。課税当局が否認する方法は

(1)個別的に否定をしていく
(2)一般的に否定をしていく

の2種類。日本の場合は(1)の個別に否定をしていくのが基本で、租税回避行為が違法であると法的な根拠をプラスして否認していくことになる。

ちなみに、(2)の否認の代表格としてはドイツがあり、「法形式の乱用によって租税回避をした場合は、(課税長側に)租税請求権が発生する」ことを一般的に規定し、租税回避に対抗をしている。

日本の場合は、あくまで租税法律主義を貫いているため、納税者との争いになった場合を想定して、課税当局も法的な根拠をベースに否認根拠を探すことになる。

とはいうものの、日本の課税当局も最終手段として、法人税法なら国税の“伝家の宝刀”と言われる法人税法132条1項の「同族会社の行為計算の否認」がある。これは、同族会社に限定されているものの、法律に沿った節税であっても、「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの。その行為または計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額または法人税の額を計算することができる」としている。つまり、行き過ぎた節税は、税務署長の判断一つで否認できるという法律なのだ。とはいうものの、何でもかんでもこの「行為計算の否認」が適用できるわけではない。課税当局側も伝家の宝刀を抜くときは、法廷での争いも覚悟の念頭に、裁判官も認めざる負えない証拠を揃えている。

いずれにしても、「節税」「脱税」「租税回避」は、英語にしてみると理解しやすい。

節税=tax-reduction
脱税=tax-evasion
租税回避=tax-avoidance

経営者なら、こうした基準を理解しつつ、節税を図りながら適正納税に努めていきたい。

Presented by アルトア株式会社
<概要>
アルトア株式会社(東京・千代田区、代表取締役=岡本浩一郎)
『弥生会計』の弥生株式会社の子会社。
「アルトア オンライン融資サービス【ALTOA】」を提供。会計データとAIを活用した新たな与信モデルを開発し、インターネットを通じて小規模事業者向けに、簡単手続き、保証人・担保なし、早期融資のサービスを提供する。
https://www.altoa.jp/

 

著者: KaikeiZine編集部

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