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【企画特集】アーリーステージ・中小企業のための お金で得する経営術  第5回 最低でも決算3カ月前から節税対策を考えておく理由

決算期末ギリギリになって、利益が出そうだからと慌てて節税対策を検討しても、できることは限られてくる。ありがちなのが、何らかの工作を図り、無理な節税に走ること。税務調査では、「課税漏れ」を指摘されたり、下手をすると「脱税」なんてことにもなりかねない。緊急避難型の節税対策は、危険がいっぱいなのだ。

決算期末ギリギリで節税対策を講じることがあるが、本当に有効な節税は、駆け込みではなかなかできない。当初から利益金額を予想して、あらかじめ対策を立てておくことが重要になる。

駆け込み節税のパターンとしては、期末に売り上げをわざと繰り延べしたり、在庫を多く見せかけたりする。課税当局もこうした行動パターンは十分把握していることから、税務調査ではそのあたりに目を光らせている。故意にやったことが判明すれば、「仮装及び隠蔽」と判断され、税金のペナルティー措置である重加算税が課せられることもある。重加算税となれば、本来納付すべき税額に35%上乗せされ、更には5年以内に2回重加算税となれば、青色申告の取り消しのほか、通常の重加算税にさらに10%プラスされ、45%上乗せということになる。

国税OB税理士によると、「重加算税は、税額の大小にかかわらず、調査官の勤務評定で高く評価される項目」とのことで、税務調査では重加算税を狙ってくるケースが少なくないとしている。
それだけ、決算対策は十分に注意しなくてはならないのだが、必ずしも期末ギリギリに節税対策を行うのがNGというわけではない。ただ、緊急避難的な節税は手の付けられるものが限られてくる。

経営者として肝に銘じておきたいのが、緊急避難的な節税の多くが、過重な出費をすることで、今期の利益を一時的に減らし、とりあえず今期の税金を少なくするということ。

たとえば、30万円未満の少額減価償却資産の特例を利用し、期末ギリギリにたくさん買い物をする、というようなもの。本当に必要なものを前倒しで購入したのであれば、意味のあることだが、不必要なものを無理に購入しているのであれば、節税対策ではなくそれはやはり無駄遣いになる。

緊急避難的な節税で効果が高いのが、取引先に不測の事態が起きたときに資金的手立てをしてくれる「経営セーフティー共済」。加入すれば最大で240万円の利益を一挙に減らすことができる。

ただ、この経営セーフティー共済の掛け金は、掛け捨てではないので何も起こらなければ、将来、自社に返金されるため、いずれは240万円の利益が加算される可能性がある。経営セーフティー共済については、使い方によってはとても良い商品なので、詳細は別の機会に解説する。

<決算ギリギリでも可能な節税対策の例>
・30万円以下の少額商品の購入
・中小企業倒産防止共済の加入
・社会保険料・労働保険料・固定資産税の未払計上
・従業員に対する賞与の未払い計上(役員はNG)
・中古固定資産の購入
・役員退職金の支給
など

さて、経営者なら頭に入れておきたいのが、無駄に経費を使って節税しても、税金は減らせても会社に残るお金は減ってしまうこと。単純に、キャッシュフローだけを考えるなら、何もせずに税金を払っていた方が、手元に資金が残るわけだ。
そう考えると、納税額が多くなりそうだからといって、無理に節税しないほうがおトクということも十分に頭に入れておきたい。

決算を迎えるにあたり、節税対策を考えるならば、経営的に意味のある中・長期的な視野に立った節税対策を行っていくことが重要になる。決算3カ月前には、今期の見通しが立つだろうから、遅くともこの辺りから決算対策を検討しておくことが大切だ。

節税対策のポイントは、自社の経営戦略上、恒久的に意味を持つプランを考えること。たとえば、役員報酬の見直しだ。役員報酬は現在、原則として期中で変更することができない。いわゆる「定期同額給与」「事前確定給与」といわれるものだ。

3月決算法人であれば、役員報酬の変更は原則4~6月の3カ月間でしか行うことができない。ここで、当期の予想利益に対していかに適切な役員報酬を設定できるか、節税対策においては重要になる。

税法に「特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入」という規定があり、同族会社は、この規定を念頭に、損金不算入にならないような設計をしていく必要がある。最近では、原発事故の除染作業を手がける「相双リテック」(福島・いわき市)が、仙台国税局から2016年12月期までの3年間で約30億円の申告漏れを指摘されたとの報道があり、この申告漏れの原因が計約76億円の役員報酬。国税局は、「高額すぎ、全額の経費算入は認められない」と判断した。同社、清水建設の1次下請けで受注。申告漏れを指摘された
3年間の売上高は計約266億円、売り上げ総利益はこの5割超にあたる計約142億円に上ったが、代表取締役らに高額の役員報酬を支払うなどし、利益は計約44億円に抑えられていた。
仙台国税局は、支払われた役員報酬が同業他社の水準と比べて過大などと判断し、約30億円について経費算入を認めなかったとされる。

同族会社の場合、上場企業と異なり役員報酬の決め方について課税当局は厳しい見方をしている。節税対策全般についても細かくチェックしているため、否認されないような準備が不可欠になる。経営戦略上も、会社を伸ばしていくための節税策が不可欠だけに、中・長期的視点に立った節税対策を心がけていく必要がある。

Presented by アルトア株式会社
<概要>
アルトア株式会社(東京・千代田区、代表取締役=岡本浩一郎)
『弥生会計』の弥生株式会社の子会社。
「アルトア オンライン融資サービス【ALTOA】」を提供。会計データとAIを活用した新たな与信モデルを開発し、インターネットを通じて小規模事業者向けに、簡単手続き、保証人・担保なし、早期融資のサービスを提供する。
https://www.altoa.jp/

 

著者: KaikeiZine編集部

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