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【企画特集】アーリーステージ・中小企業のためのお金で得する経営術 第6回 中小企業経営者の報酬は高めに設定しておくべき理由

自分の給与を高く設定することに躊躇する経営者は少なくないが、中小企業の場合、社長の報酬は高めに設定しておくほうが良い。というのも、オーナー社長なら、業績が悪化したときなど、社長自ら身を切らなくてはならないため、社長なら貯められるときにはある程度、蓄財しておくべきだ。

中小企業の場合、なるべく多くのお金を経営者が握っておくべきだ。というのも、銀行融資のハードルは以前より低くなったものの、銀行は中小企業には簡単にお金を貸してくれないからだ。とくに、中小企業が融資を必要とするときは、会社にお金がないときだけに、金融機関は融資を渋るのが当たり前といえば当たり前だ。そして、ちょっと景気が悪くなったり、業績が悪化してくれば“貸しはがし”ということになる。そうなると、中小企業の経営者は、自身の私財を切り崩して支払いに対応することになる。

だからこそ、経営者自身だけでなく、身内を使っても蓄財をしておくべきなのだ。経営をしていれば、景気の良いときもあれば、そうでないときもあり、会社を存続させていくためには、私財を社員の給与の支払いに使ったり、取引先への返済に充てたりする場面も少なくない。そのため、中小企業の経営者は、ある程度の蓄財しておくことは“経営者としての責任”と考えておくべきなのだ。

雇用されている社員からすると、詭弁のように聞こえるかもしれないが、「会社を守るため」という純粋な気持ちがあれば、長年付き合っていけば理解されることだと思う。

さて、経営者が蓄財していくにあたって、大きなポイントになるのが税金。効果的に蓄財をしていかなければ、後から多額な納税ということになりかねない。

その意味で、社長の報酬は高めに設定しておくべきだ。多くの経営者が、軌道に乗るまでは報酬を低めに設定しているが、儲かってきたからといって、社長の報酬は期中にアップすると法人税が課せられる。税務上は次の年度まで上げられないのが役員報酬なのだ。

なかには、オーナー社長の場合だったら、株式の配当金で利益を吸収することも一つの手という人もいるが、役員報酬でもらうより基本的には税金が高くなるのが一般的だ。

だからこそ、社長の報酬ははじめから高めに設定しておくべきであり、目安として最大限儲かったときを基準に報酬額を決めておくことをお勧めする。

「会社の業績が悪くなったら、こんな高い報酬は払えない」という心配もあるだろうが、そうなってしまったら減額するか、未払いにしておけばよい。社長の報酬が減額されたり、未払いになっても税務署は文句を言わない。社長の報酬は期中に増額できないが、減額は可能なのだ。

ただ、税務上は役員報酬を減額しても、その期中は一定の額にしておかなければならないなど要件をクリアしておく必要がある。

「役員報酬を高めに設定すると税務署に睨まれるのではないか」との懸念の声も聞かれるが、ほとんどの中小企業の場合はその必要もない。2019年4月、福島の除染業者が「役員報酬が過大」としてニュースになったが、このケースでは、売り上げが110億円前後の会社が、3年間で役員報酬を76億円支払っていたことから、同業者とも比べて「高すぎる」と課税当局が否認した。これだけ高額報酬を支払っていれば、所得税は最高税率を納めているわけだが、このケースでは、課税当局では所得税については触れず、法人税だけ課題役員報酬として否認していることから注目される課税当局の動きといえる。

とはいっても、一般的に会社の業績に連動して役員報酬を支払っていれば、それが高いかどうかについて税務署も文句は言えない。ただ、社員に比べて著しく役員報酬が高い場合は、会社の業績が公平に反映されていないとして、税務調査の際に税務署から指摘される可能性があるので注意しておくべきだ。

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<概要>
アルトア株式会社(東京・千代田区、代表取締役=岡本浩一郎)
『弥生会計』の弥生株式会社の子会社。
「アルトア オンライン融資サービス【ALTOA】」を提供。会計データとAIを活用した新たな与信モデルを開発し、インターネットを通じて小規模事業者向けに、簡単手続き、保証人・担保なし、早期融資のサービスを提供する。
https://www.altoa.jp/

 

著者: KaikeiZine編集部

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