生命保険は税務ネタの宝庫。生保各社によって、この緩い節税シバリをすり抜ける節税商品がそう遠くないうちに開発されるであろう。

今年6月に行われた国税庁による節税保険シバリの「緩さ」が面白い。
従来の定期保険の取扱いに第三分野保険の取扱いを加え、これらの保険料に含まれる前払部分の保険料が相当多額と認められる場合を除いて、期間の経過に応じて損金に算入することとされている(法人税基本通達9-3-5)。
そして、定期保険等の保険料に「相当多額の前払部分」が含まれる場合については、最高解約返戻率50%超〜70%以下なら6割、70%超〜85%以下なら4割、85%超でも3割の損金算入を認めるとしており、既契約への遡及適用はないという。
生保各社が想像していたよりもはるかに緩い印象の節税シバリについては、OB税理士への忖度ではないか等々の憶測も飛び交っているが、実際のところは分からない。ただ、想像できるのは、今回の緩いシバリをすり抜ける節税商品がそう遠くないうちに開発されるであろうということ。
今年初め、生保各社を呼びつけて「イタチごっこを解消したい」旨の説明をし、遡及適用をも匂わせていた国税庁の勢いはどこへいってしまったのか。
物議を醸した節税保険通達は、パブリックコメントを経て6月28日に改正。
2019年7月8日(解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険は2019年10月8日)以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料について適用される。
損金算入率が高く、節税効果が高い保険契約を巡っては、新商品が開発されるたびに国税当局による規制が入るというイタチごっこが繰り返されてきた。
おそらく今後も、金融機関の販売政略を当局はウォッチし続けるのだろう。
生命保険は税務ネタの宝庫。
税金記者としては、今後の攻防戦に大いに期待したい。
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