国税庁は3月25日、平成26年度分法人企業の実態を公表した。この年は、消費税が8%に引き上げられた年だが、5年連続して黒字申告企業割合が増加するとともに、景気のバロメーターでもある交際費支出額も3年連続増となっている。ただその一方で、赤字企業も依然7割弱を占めており、中小企業にとっては景気回復の恩恵はまだ限定的となっている。

法人企業の実態(「会社標本調査結果〜税務統計からみた法人企業の実態〜」)は、法人企業について資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とするため、昭和26年から毎年実施されているもの。調査は、一般社団・財団法人除く活動中の内国普通法人から資本金階級別・業種別等に一定の方法で標本法人を抽出し、その標本法人の確定申告書等から得た標本値により計数を推計している。平成26年度分は、同26年4月から27年3月に終了した法人の事業年度が対象だ。

3社に1社は黒字法人に

平成26年度分の法人数は2年連続増加となる261万6485 社(前年比2万582社増)と最も多かった平成21年度分に次ぐ法人数を記録した。261万6485 社のうち、連結子法人1万711社を差し引いた260万5774社の業績は、黒字法人が87 万6402社で33.6%となっており、5年連続で増加している。ただその一方で、赤字企業も依然172 万9372 社と全体の66.4%を占めており、中小企業にとっては景気回復の恩恵はまだ限定的となっている。
業種別の赤字申告割合で最も高いのが「料理飲食旅館業」の78%、逆に最も低いのが「建設業」で61.1%と、5社のうち2社が利益を挙げている計算になる。

営業収入金額は1538 兆207 億円(前年度44兆5519億円増)で、このうち黒字法人のみでは、営業収入金額1171 兆3286 億円、所得金額53 兆9311 億円となり、法人の収益性の指標となる所得率(営業収入金額に対する所得金額の割合)は4.6%と、過去5年間では最も高い数字になっている。
業種別にみると、「鉱業」がダントツに高く18.9%。平均の約4倍に達し、次いで高い「不動産業」の8.6%以下を大きく引き離している。

黒字法人の益金処分金額71兆9955 億円の内訳をみると、最も多いのが社内留保で37兆2809億円と全体の51.8%を占めていて、社員に還元や設備投資よりも依然として「取りあえず」や「不断の時のため」に“貯めておく”という風潮の企業が多い。以下、支払配当が23.4%、法人税額等が14.7%、その他の社外流出が10.1%だった。

一方、法人税及び各種控除税額をみると、企業が払った法人税額は10 兆2098 億円(同976 億円増)で、平成22年度分で増加に転じて以降5年連続増加。控除は、所得税額控除が2 兆9125億円と過去最高額を記録するとともに、外国税額控除も7113 億円と前年に比べ約1割増えている。
所得税額控除が過去最高となった理由は、平成25年12月31日をもって上場株式等の配当・譲渡所得等に係る10%軽減税率の特例措置が廃止され、平成26年1月1日以後は本則税率の20%が適用されたことなどが影響していると国税庁では分析している。