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【企画特集】アーリーステージ・中小企業のためのお金で得する経営術   第8回 利益を出している法人の節税ならまず経営セーフティ共済を検討すべき理由

会社経営をしていて、ある程度利益が出てくるようになったら、“節税”を考えることも重要だ。“節税”は、売上を除外し、税金を少なく納める“脱税”とはまったく違う。節税してプールしておくお金は、会社の「いざ」というときの備えにもなるのだから、経営者としては戦略的に検討すべきだ。そこで、利益が出てきた法人がまず加入を検討すべき中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)について説明する。

経営セーフティ共済は、公的機関である中小企業基盤整備機構(基盤機構)が運営する共済制度で、取引先の突然の倒産に備えた、“いざ”というときの資金的な備えだ。

中小企業なら、経営セーフティ共済に加入して「掛金」を支払うことで、取引先の倒産時に掛金の最高10倍(上限8千万円)までを、無担保・無保証人で借り受けることができる。さらに、この貸付は無利息だ。借入にかかる時間は、取引先企業が倒産し、売掛金債権の回収ができなくなったことが確認できればすぐに共済金を借りられる。

 

経営セーフティ共済における「倒産」の要件は、

  1. 手形交換所に参加する金融機関によって取引停止処分を受けたこと
  2. 破産・再生手続開始・更生手続開始・特別清算開始の申立てが裁判所に対してされること
  3. 私的整理の一部(内整理)について、その通知があったこと
  4. 甚大な災害の発生によって、手形等が「災害による不渡り」になること

※夜逃げなどは本制度の「倒産」には該当しない

とされている。

また、共済金を借りた場合の返済期間は、以下の通りだ。

(貸付額)       (返済期間)

5千万円未満       6カ月後~5年後

5千万円~6500万円   6カ月後~6年後

6500万円~8千万円   6か月後~7年後

わりと余裕を持った返済期間になっているのが特徴だ。

ただ、注意が必要なのが、「借入れ後は、共済金の借入額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除」、つまり、たとえば1千万円借りた場合は100万円、上限の8千万円借りた場合は800万円の掛金が消えてしまうため、貸付時に10%利息を取られているのと同じことになる。

ちなみに借り入れが1千万円の場合なら、年利4%で5年借りると約100万円の利息。8千万円の場合なら、年利2.75%で7年借りると約800万円の利息となる。経営セーフティ共済は、実際にこの利息を払ってお金を借りていることになるので、利用にあたっては頭に入れておいた方が良い。

掛金は全額損金計上できるため節税メリットも

経営セーフティ共済が会社にとってやさしいのは、掛け金を全額損金算入できるため節税効果も期待できるほか、途中で解約しても解約返戻金を受け取ることができること。つまり、取引先の倒産というリスクをカバーできるだけでなく、節税と解約返戻金というメリットを享受できる点がこの経営セーフティ共済のおすすめの理由なのだ。

経営セーフティ共済は、毎月5千円から20万円の範囲内で、総額800万円になるまで掛金を基盤機構に払い込むことができるため、アーリーステージの企業や小規模企業にとっても加入しやすくなっている。
解約返戻率は、40カ月以上掛けて100%になるのだが、一般の保険商品でも、解約返戻金があって全額損金計上できる商品はほぼないに等しいので、経営セーフティ共済は驚異的な商品と言える。

(ポイント)

  • 掛金が全額損金計上できる
  • 40カ月以上掛けることで解約返戻金率が100%

<参考>

掛金納付月額   任意での解約返礼率

1~11       0%

12~23      80%

24~29      85%

30~35      90%

36~39      95%

40~       100%

加入期間中でも売上に応じて掛け金を変更することも可能

そして、何といっても経営セーフティ共済の利用しやすい点は、一定要件を満たせば、掛け止めすることが出来ること。つまり、利益が出ている年は掛金を増額、利益が出ない年には掛金減額あるいは掛止めすることが出来るわけだ。これなら、安心して加入を続けられる。

ただ、掛止めをしたときに注意が必要なのは、「40カ月」に満たない事態も出てくること。<参考>の「掛金納付月数」は、納付した月数で、加入してからの月数ではない。たとえば、加入から12カ月の間は掛金を支払い、その後に掛止めをし、そこから28カ月経ったので加入から40カ月と考え、ここで解約してしまうと解約手当金は100%にはならない。表中の「掛金の納付月数 12か月」として80%として計算される。

そう考えると、納付月数が40カ月に達するまでは、最低掛金(月5千円)でも払い込みを続けるほうがよいわけだ。

経営セーフティ共済は、満期になったり、解約するとお金が返金されるわけだが、このお金は会社で益金参入、つまり収益として計上しなくてはならないため、その部分については法人税等が課税されることになる。掛け金は損金計上しているのだから、それは当然と言えば当然なのだが、解約するなら、たまたま業績が悪化して赤字になりそうな事業年度に解約すると、税金がかからないことも考えられる。また、役員などの退職時まで掛けっぱなしにしておいて、退職金として経費計上すれば、多少は法人税を回避することも可能だ。

つまり、経営セーフティ共済は、基本的には課税の繰り延べを利用しているだけなのだが、「経費を計上出来て、しかもそれを資産として貯蓄できる」ことが大きなメリットなのだ。

ただし、月額20万円で積立限度額が800万円までという規模の面での限界だ。

経営セーフティ共済は、期末ギリギリになっても加入でき、1年分の前払いも可能。前払いした掛け金は、支払った事業年度で損金計上できる。

たとえば、3月末決算法人なら、3月31日までにこの経営セーフティ共済に月額20万円の掛け金で加入し、1年分の240万円をその日のうちに前払いしたとする。すると240万円全額をその事業年度に損金計上することができるわけだ。期末になって、予定以上に利益が出ていることが分かって、納税額が増えそうなときにピッタリの節税商品なのだ。

起業したばかりの1年目は加入できない

加給要件は、継続して1年以上事業を行っている中小企業者となっており、起業したばかりの1年目は加入できない。

中小企業者の要件も業種によって異なり、以下の図表の通り「資本金の額または出資の総額」、「常時使用する従業員数」でいずれかに該当する会社または個人事業者となっている。

組合関係では、共同生産、共同販売等の共同事業を行っている事業協同組合、事業協同小組合、商工組合は加入できるが、医療法人や農事組合法人、NPO法人、森林組合、農業協同組合、外国法人等は加入対象にはなっていない。

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<概要>
アルトア株式会社(東京・千代田区、代表取締役=岡本浩一郎)
『弥生会計』の弥生株式会社の子会社。
「アルトア オンライン融資サービス【ALTOA】」を提供。会計データとAIを活用した新たな与信モデルを開発し、インターネットを通じて小規模事業者向けに、簡単手続き、保証人・担保なし、早期融資のサービスを提供する。
https://www.altoa.jp/

 

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著者: KaikeiZine編集部

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