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【企画特集】アーリーステージ・中小企業のためのお金で得する経営術   第9回 社長個人の所得税、住民税を安くする小規模企業共済

個人事業主や中小企業経営者の退職金の準備が節税しながらできると人気の「小規模企業共済」。今回は、その小規模企業共済の内容と、加入のメリット・デメリットなどについて徹底解説する。

小規模企業共済は、国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する退職金制度で、小規模企業の経営者や役員、個人事業主が節税しながら退職金を積み立てることができるもの。個人事業主や会社役員、経営者などが事業を廃止・会社を退職する際に、これまで積み立てた掛け金に応じて給付金を受け取れる。最大のメリットは、1年間に支払った掛金の全額を課税対象所得から控除でき、高い節税効果が期待できる点。

加入できるのは、個人事業主や小規模企業の経営者または役員で、以下のいずれかに該当するもの。

  1. 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員
  2. 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
  3. 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  4. 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  5. 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員

配偶者などの事業専従者や学業を本業とする全日制高校生、生命保険外務員などは加入することができない。掛け金としては、月1千円~7万円までの範囲で選択が可能。500円単位で自由に設定できるため、経営状況などに合わせて設定できる。

たとえば、月1千円なら年間で1万2千円。これくらいの金額なら手軽に払えるため、事業が苦しくなったときであっても問題なく続けられる。増額や減も可能なので、利益調節という観点でも使い勝手が良い。仮に月7万円の積み立てであれば、最大で年間84万円まで利用できる。たとえば、法人税率を30%で考えれば、

84万円(年間の最大掛金) × 30%(法人税率) = 25万2千円

の節税効果が期待できるわけだ。また、前払いした掛金についても向こう1年以内のものであれば控除することが可能。経営者の退職金として活用する場合、積み立てた金額を「退職金」として受け取ることが可能であり、20年(240カ月)以上積み立てていれば、「掛け金の100%以上の給付」が見込める。

ただ、早期解約すると元本割れするので注意が必要だ。1年未満(12カ月未満)に任意解約してしまうと、掛けたお金の全額が戻らない。つまり、掛け捨てになってしまうわけだ。また7年未満の解約でも、返戻率が80%になるため、短期間での任意解約はお勧めできない。ただ、解約返礼率と損金額などを考慮すると、実質効果は大きいといえる。

一方で、解約返礼率100%である20年よりも多く払っていると、返戻率は100%を超える。つまり、実際に支払った金額よりも多くのお金が戻ってくる。それぞれの返戻率については以下の通り。

  • ・1年未満:返戻なし
  • ・7年未満:返戻率80%
  • ・20年未満:返戻率80~100%
  • ・20年以上:返戻率100~120%

ちなみに、短期解約での元本割れが発生するのは任意解約のときだけ。以下のケースだと、満額が戻ってくる。

  • ・個人事業主の廃業や契約者の死亡
  • ・法人の役員を辞任
  • ・65歳以上で15年(180カ月)以上を払い込んだ
  • ・法人成りしたあと、役員にならず脱退

あくまでも自己都合での解約のときに元本割れすると考えておけばよい。個人事業主が法人成りするときは、大多数で本人が社長に就任する。こうした法人化のタイミングで脱退すると、任意解約となるので注意したい。短期解約で全額が返ってくるのは、あくまでも法人成りした後に役員にならなかった場合だ。

さて、退職金を分割で受け取る場合だが、公的年金と同様に雑所得扱いとなり、一括の場合に退職所得扱いとなる。どちらの受け取り方法においても所得控除が受けられるため、受け取り時と支払い時のダブルで節税できる。さらに、掛金の範囲内なら無担保・無保証人で事業資金の貸付けも受けられるので、いざというときの資金繰りに活用できることも大きなメリットだ。資金調達コンサルタントの話では、借入できる限度額としては「それまでの掛金の金額 × 7~9割 = 借入できる限度額」と考えるとよいとしている。そして掛金のうち、「どれだけ借入できるのか」「返済期間はどれくらいか」などについては、借入金額や掛金を支払った月数によって変わってくるそうだ。利率については、大多数の人が利用する一般貸付制度だと利率1.5%程度。とくに交渉をしなくても最初から1%台で借入も可能なので、銀行からの借入に比べても低金利となっている。急なキャッシュフローの悪化によってお金が必要になったとき、リスクヘッジとしても小規模企業共済は有効活用できる。中小機構によると、現在、小規模企業共済制度は約138.1万人が加入し、資産運用残高は約9兆4125億円となっている。平成29年度の受給状況は、共済金受給額が約4838億円、共済金受給額の平均は1087万円、共済金受給者の平均在籍年数は約19年(平成30年3月末現在)だ。

(資料;中小機構)

「全額所得控除を受けられる」「もらうときの税金の優遇が大きい」は、経営者にとって非常に大きなメリット。民間の保険を活用した退職金捻出も視野に入れながら、まずは事業が軌道に乗ってきたら小規模企業共済は考えたい商品といえる。

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<概要>
アルトア株式会社(東京・千代田区、代表取締役=岡本浩一郎)
『弥生会計』の弥生株式会社の子会社。
「アルトア オンライン融資サービス【ALTOA】」を提供。会計データとAIを活用した新たな与信モデルを開発し、インターネットを通じて小規模事業者向けに、簡単手続き、保証人・担保なし、早期融資のサービスを提供する。
https://www.altoa.jp/

 

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著者: KaikeiZine編集部

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