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その手があったか 酒井威津善の【儲けのヒント】〜第7回 価値観②〜

コロナ禍の影響の中、飲食店、小売業をはじめ多くの業界にて、従来のビジネスモデルを大きく変換せざるを得ない状態が起きています。
そうした中、新しい事業を考える(もしくは既存事業を見直す)上で、ポイントとなるのが「これまでにない切り口」をどうやって見つけるか、です。
第7回目は、前回に続き「価値観」です。

価値観は、「何を好ましいと考えるか」「何が良いと考えるか」といった、ものの見方のことです。人間の感情と同様、価値観は無尽蔵に存在するわけではなく、ざっと次のような23個に分類することができます。

また、価値観の最大のポイントは、ビジネスとして成立しているものは、必ずいずれかを満たしているという点。

例えば、

  • ・チャンス・機会増大=宝くじ、懸賞、転職、etc
  • ・先端技術=AI、IoT、ロボット(RPA)、5G、etc
  • ・利便性=タクシー、スマホ、地図アプリ、etc

といった具合です。

前回、価値観によるアレンジの方法として、

  • ・総当りで1つずつ入れ替えてみる
  • ・2つの価値観をかけ合わせる

という方法をご紹介しましたが、今回はさらにもう1つの見つけ方をご紹介しましょう。

価値観は、「不」の裏返し

ビジネスのネタ探しの王道の1つに、「不」を探すというものがあります。
「不」を探しあて、その解決策を考える。ビジネスの基本といえるものです。
ご紹介する価値観発見の手順も同様です。「不」を探し、それを改善、解決する価値観を当てはめてみる。この2ステップです。

とはいえ、いきなり「不」を探すのも手間です。
これまで6回に渡りご紹介してきた手法と同様に、「不」の表を見ながら、考えを進めましょう。

「不」には次のような10種類があります。

それぞれの意味はもちろん説明不要でしょう。
人は、目の前で起きた現象や経験、購入した商品やサービスに対して、往々にしていずれかの「不」を感じています。

ポイントは、それぞれの「不」をどの「価値観」≒ビジネスでカバーするのか、です。例えば、前回ご紹介した「ホテル」であれば、

  • ・対応が悪い(不満)
  • ・設備が良くない(不快)
  • ・場所が遠い(わかりにくい)(不便)
  • ・食事が美味しくない(不満)
  • ・価格が高い(不経済)

といった「不」がよく耳にする(自分でも体験する)ものです。

こうして洗い出した「不」に対して、どのような価値観を当てはめればその「不」が解消するかを考えてみるのです。
もちろん、前回ご紹介したとおり、価値観は1つとは限りません。
別の価値観をかけ合わせながら、「不」を解決することで、競合他社との差別化につながります。

価値観は突然変化する

6月5日に発表された総務省 家計調査報告(2020年4月分)によると、全国に発令された緊急事態宣言によって、外出自粛、営業自粛ムードの高まり、テレワークの拡大などによって、体験などの「コト消費」が大きく減少。結果、外食や娯楽、鉄道運賃などの支出が大きく減っています。意外なところでは、外出が減ったことにより、ファンデーションなどの化粧品も大きく後退しています。

一方、それらに代わって大きな伸びを示したのが「食料品」や「水道・光熱」、そして「動画配信サービス」や「ゲーム」など。それらに関連するパソコンやゲーム機本体などの売れ行きも伸びています。また、通勤時の「3密」を避けるために、移動手段を鉄道やバスから「自転車」に切り替えた人も。結果、米国では自転車の生産が追いつかないとのニュースもあるほどです。

こうした変動を読み取るのは容易ではありませんが、価値観から見ると、「コスパ」や「一流」「つながり」「自然志向」などが鳴りを潜め、代わりに「癒やし」「健康的」「(コロナ禍に対応する)先端技術」といったものに置き換わったのは明らかです。

コロナ禍に限らず、こうした「ある日突然」の劇的な変化は予期せず起こります。価値観に限って言えば、SNSで誰かが放ったツイート1つでそれまでとはまるで異なる感覚、考えなどが広がり、変化につながることはこれまでも幾度となく起きています。

こうした大きな変化のとき、気をつけたいのが目を、そして意識をどこに向けるか、です。すっかり下火になったマスクしかり、安易に売れている商品やサービスなど表面的に追うのではなく、「なぜ、売れているのか」「どんな気持ち(価値観)が人々を動かしているのか」といった「問い」を立て、そうした変化の裏側に何があるのかを掘り下げ、解決策を探ってみましょう。

緊急事態宣言解除とともに、少しずつ日常が戻ってきそうな雰囲気ですが、残念ながら以前とまったく同じとはいかないでしょう。また、9月以降には気温、湿度の低下と相まって、第2波が来るのではとの予想もあります。さらなる変化も想定にいれ、「ポスト・コロナ」のビジネス世界に対応する新たなビジネスの切り口の1つとして、ご紹介した「価値観」を変え、新たな付加価値が提供できないか、ぜひ、試してみてください。


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著者: 酒井威津善

フィナンシャル・ノート代表

東洋情報システム(現TIS株式会社)にて10年間に渡り、法人向けシステムの企画・設計に従事したのち、不動産証券化業、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などで計12年間CFO(財務責任者)を歴任。2016年独立。新しいビジネスモデルの創出支援、設計及びサポートなどを行なう。著書に「儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50」「儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート」(自由国民社)、「起業のための儲けの教科書」(ソシム)がある。

■新しいビジネスモデルの発見とヒント
http://financial-note.com/ 
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