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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:基礎から分かる移転価格税制⑮ 独立企業間価格の算定方法~「RP法」「CP法」とは

移転価格税制は、海外の関連企業との取引を「独立企業間価格」で行うことを求めるものです。日本では、独立企業間価格の算定方法として6つの方法が規定されています。今回は、このうち再販売価格基準法(RP法)と原価基準法(CP法)を取り上げます。

日本では、独立企業間価格の算定方法として、次の6つの方法が規定されています。

今回は、このうち再販売価格基準法(RP法)と原価基準法(CP法)を取り上げます。再販売価格基準法と原価基準法は、ともに売上総利益に着目する方法です。

再販売価格基準法(RP法:Resale Price Method)

再販売価格基準法は、国外関連取引と比較対象取引の売上総利益率の水準を比較する方法です。

<図1>において、国外関連者との取引では、A社はB社から160円で仕入れた商品を第三者に200円で販売していることから、売上総利益は40円、売上総利益率は40円/200円=20%となります。

一方、同種又は類似の商品を取り扱う第三者間取引(比較対象取引)では、105円で仕入れた商品を150円で販売していることから、売上総利益は45円、売上総利益率は45円/150円=30%となります。

比較対象取引の売上利益率が30%であるのに対し、国外関連者との取引では20%しかありませんので、所得が海外に移転していることが分かります。

RP法では、この30%を使って国外関連取引における独立企業間価格を算定します。A社は、B社から仕入れた商品を200円で第三者に販売していますので、この取引におけるA社のあるべき売上総利益は、200円×30%=60円となります。

よって、独立企業間価格は、再販売価格200円からあるべき売上総利益60円を差し引いて140円と計算されます。

A社は、独立企業間価格が140円のところを160円で国外関連者から仕入れているため、差額の20円が所得移転額となります。

再販売価格基準法は、一般的に国外関連取引における買手が卸売業の場合に適用される手法です。

原価基準法(CP法:Cost Plus Method)

原価基準法は、国外関連取引と比較対象取引のマークアップ率(取得原価に対する売上総利益の割合)の水準を比較する方法です。

 

<図2>において、国外関連者との取引では、A社は第三者から150円で仕入れた商品をB社に200円で販売していることから、売上総利益は50円、マークアップ率は33%となります。

一方、同種又は類似の商品を取り扱う第三者間取引(比較対象取引)では、120円で仕入れた商品を180円で販売していることから、売上総利益は60円、マークアップ率は、60円/120円=50%となります。

比較対象取引のマークアップ率が50%であるのに対し、国外関連者との取引では33%しかありませんので、所得が海外に移転していることが分かります。

CP法では、この50%を使って国外関連取引における独立企業間価格を算定します。A社は、第三者から150円で仕入れていますので、この取引におけるA社のあるべき売上総利益は、150円×50%=75円となります。

よって、独立企業間価格は、取得原価150円にあるべき売上総利益75円を加えた225円と計算されます。

独立企業間価格が225円のところをA社は200円で国外関連者に販売しているため、差額の25円が所得移転額となります。

原価基準法は、一般的に国外関連取引における売手が製造業である場合に適用される手法です。

 

RP法やCP法を適用するためには、比較対象取引の売上総利益率やマークアップ率を把握しなければなりませんが、公開されている情報からでは比較対象取引を探しきれない場合が多いというデメリットがあります。


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著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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