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その手があったか 酒井威津善の【儲けのヒント】〜第8回 バリュー・チェーン①〜

東京アラートも解除され、落ち着きを見せた新型コロナウイルス感染症ですが、依然断続的に感染者も出ており、余談を許さない状況が続いています。
そうした中、新しい事業を考える(もしくは既存事業を見直す)上で、ポイントとなるのが「これまでにない切り口」をどうやって見つけるか、です。
第8回目は、「バリュー・チェーン」です。

バリュー・チェーンとは何か

マイケル・ポーターが、著書「競争優位の戦略」の中で用いた言葉で、日本語では「価値連鎖」。原材料を調達してから商品やサービスが顧客に届くまでに企業が行う活動の連鎖(チェーン)を、モノの連鎖(サプライチェーン)だけではなく、価値の連鎖(バリューチェーン)として捉えたものです。

バリュー・チェーンの本来の目的は、各活動にかかるコストを把握して、コスト削減に活かすことと、各活動における自社の強みと弱みを把握して、差別化戦略を図ることです。例えば、コスト削減の場合、各活動のコストが主にどんな要因に影響されているか、人件費にかかるものであれば、労働時間、仕事の速さ、時給、資本にかかるものであれば設備、装置切り替え時間ロスなどを分析します。

ビジネスとして成立しているものには必ずこの「流れ」が存在しています。例外はありません。また、それは業種・業態によって異なり、それぞれの特徴を持っています。

例えば、トラック輸送の場合、

設備の購入(トラックの購入)→法人などへの営業活動→契約を経て、荷物の集荷、輸送、配送の流れになっています。これがトラック輸送(運送業)におけるバリュー・チェーンです。

今回ご紹介する発想の切り口は、このバリュー・チェーンのどこかをアレンジできないか、という視点です。
2つの実例とともにご紹介していきましょう。

※バリュー・チェーンは、本来上記のような「主活動」と、人事や労務といった「支援活動」の2つで構成されていますが、業種・業態の特徴を持つのは主活動であるため、支援活動はこの発想の対象から割愛しています。

バリュー・チェーンのアレンジ

1例目は、先日発表された、セブン・イレブン、宝島社、そして北欧ブランドの「モズ」によるコンビニエンス・ストアでのアパレル販売事業です。

宝島社がコラボアパレル事業を始動、「モズ」の撥水軽量ジャケットをセブンイレブン限定で発売(https://www.fashionsnap.com/article/2020-06-04/tkj-moz/

記事のタイトルにもあるとおり、セブン-イレブンの店舗で撥水軽量型のジャケットを販売するというものです。価格は1990円(税別)。

既存ビジネスでは、雑誌の付録として女性向けのバッグや財布、ポーチやコスメなどが書店やコンビニに置かれているケースはすでに一般的になっていますが、「服」はまだありませんでした。かなり意表をついた切り口です。(雑誌の付録は、あくまで雑誌の売上がメイン)

服をコンビニエンス・ストアで販売する。つまり、アパレルの「販売」というバリュー・チェーンの活動を、従来のショップ(百貨店やSCなど)からコンビニエンス・ストアに置き換えたのです。つまり、アパレルのバリュー・チェーンに「コンビニ」という別の業態をかけ合わせたのです。

 

2例目は、全国に100カ所以上の店舗を持つ大手リユース企業のトレジャー・ファクトリーが展開する新事業、トレファク引越サービスhttps://www.tfhikkoshi.com/)です。

もちろん、ただの引越サービスではありません。
従来からある引越しはもちろん、拠点から拠点に運ぶ、機能はこの1点です。
このサービスは、ここへリユース企業として長年に渡り培ってきた「買取」と「処分」という機能を付け加えたのです。

引越しの際には、必ずといっていいほど「不用品」が出ます。
普通は引越し後に処分するか、新しい電化製品や家具の購入に合わせて、引き取りを依頼するのが一般的。その手間を集約させたのがこのサービスです。

バリュー・チェーンのアレンジ方法はこれまでと同じ

ご紹介した2例からもわかるとおり、バリュー・チェーンのアレンジは、これまで7回に渡ってご紹介してきた方法と同じです。『別の要素に置き換え』、もしくは『別の要素を加える』これだけです。

ただし、1つ注意点があります。
それは、組み合わせる対象が持つ「性質との整合性」です。

どのようなビジネスであれ、「仲介する」「運ぶ」「教える」「貸し出す」といった基礎的な機能を持っています。例えば、運送であれば「運ぶ」ですし、学習塾なら「教える」です。

 

例えば1例目の場合、服は「販売する」ものです。百貨店とコンビニエンス・ストアでは「場所」は異なりますが、その基礎的な機能に違いはありません。
2例目はまったく同一ではありませんが、引越しに必ず「処分」が含まれている点でビジネスの整合性が取れています。
バリュー・チェーンのアレンジを検討する際は、こうした「性質の整合性」が取れるかどうか、この点をよく吟味してください。

 

9月以降には第2波が来るのではとの予想もあります。時間的猶予がある今、本業とは別に、ご紹介した「バリュー・チェーン」の観点からを新たな付加価値、ビジネスが提供できないか、ぜひ、試してみてください。


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著者: 酒井威津善

フィナンシャル・ノート代表

東洋情報システム(現TIS株式会社)にて10年間に渡り、法人向けシステムの企画・設計に従事したのち、不動産証券化業、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などで計12年間CFO(財務責任者)を歴任。2016年独立。新しいビジネスモデルの創出支援、設計及びサポートなどを行なう。著書に「儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50」「儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート」(自由国民社)、「起業のための儲けの教科書」(ソシム)がある。

■新しいビジネスモデルの発見とヒント
http://financial-note.com/ 
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