国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2020年分の路線価(1月1日時点)を発表した。全国約32万地点の標準宅地は19年比で1.6%上昇。再開発やインバウンドの効果で、大都市圏の上昇基調が地方都市にも拡大した格好だ。ただ、今年はコロナ禍の影響で、地価が大幅に下落する可能性があることから、国税庁では、地価調査などを踏まえ10月以降、路線価の減額修正を含む対応の要否を検討する。

2020年分の路線価(1月1日時点)は、全国平均で前年比1.6%上昇し、19年の同1.3%上昇から伸び率が拡大した。前年比での上昇は5年連続。

47都道府県のうち、前年より平均路線価が上昇したのは21都道府県で、昨年の19都道府県から増えた。上昇率は沖縄が最も高く、前年の8.3%から10.3%に上げ幅が拡大。続いて東京が5.0%、宮城、福岡が4.8%、北海道が3.7%だった。26県は下落したが、19年の27県から減少し、うち19県は下げ幅が小さくなった。横ばいはなかった。

全国で最も高かったのは、東京・中央区銀座5丁目の中央通りの文具店「鳩居堂(きゅうきょどう)」前が、1㎡あたりが4592万円で、35年連続で日本一となり、去年に続いて過去最高額を更新した。ただ、上昇率は0.7%と高止まりの傾向が続いている。

最高額が上昇した都道府県庁所在地は、前年の33地点から38地点に増加。このうち、那覇は40.8%、大阪は35%、横浜は34.5%、奈良は21.2%と、4都市で20%を超える高い上昇率になっている。上昇率が特出しているのが宇都宮で、駅前の再開発が影響し前年の2.0%から13.7%に上昇している。横浜もJR横浜駅の開発などが影響し、前年の13.3%から34.5%と大幅に上昇した。

なお、都内で上昇率が最も高かったのは、台東区浅草1丁目の雷門通りで、403万円と去年に比べて33.9%上昇。外国人観光客の増加が路線価を押し上げる大きな理由とっている。

鳥取は前年の下落から横ばい。全国で唯一下落したのは茨木県の水戸だ。

コロナ禍の修正は10月予定

ところで、路線価はその年の1月1日時点の評価であるため、コロナ禍の影響に関しては反映されていない。そこで国税庁は、今年はコロナ禍の影響で地価が大幅に下落して路線価が地価を上回った場合などには、対象とする地域を決めたうえで、路線価の補正率などを定めることを検討している。補正率については、独自に外部業者に土地の評価を委託して調査を実施するほか、国土交通省が四半期ごとに出している「地価LOOKレポート」などの動向などを踏まえながら補正し、10月以降にも発表する。

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