一度は落ち着きを取り戻したかのように見えた新型コロナウイルス感染症ですが、7月に入って若者を中心に再び感染者数の増加に転じるなど、このウイルスの封じ込めにはまだまだ時間がかかる見込みです。新型コロナウイルスの影響に伴う経済の停滞は顕著であり、国のサポートを期待する国民も多いことでしょう。今回はその本丸の一つともいえる持続化給付金の不正受給問題に目を向けてみましょう。

持続化給付金受給に係る宣誓

新型コロナウイルスの打撃を受けた法人や個人事業者にとって、持続化給付金の受給の可否は、死活問題でしょう。

今年開業したばかりの場合でもその対象になるのか、事業所得規模とまではいえない小規模な業務についてはどのように申請するのかなど、支給要件を巡っては様々な意見や要望が聞こえてきます。

第二次補正予算では、今年開業したばかりの方についても、所定の必要書類を揃えれば受給が可能となるなど、持続化給付金の拡大が注目されています。

さて、令和2年6月29日付けで中小企業庁が示した「持続化給付金申請規程〔個人事業者等向け〕」(以下「規程」といいます。)によると、給付金は、第6章にいう「宣誓・同意事項」についての宣誓又は同意をした者に限り給付するとしています(法人向けも同様です。)。

宣誓等の項目としては、「申請時に必要な基本情報及び証拠書類等の内容が虚偽でないこと等」や「不正受給等(故意に基本情報等に虚偽の記入を行い、又は偽りの証明を行うことにより、本来受けることができない給付金を受け、又は受けようとすること)が判明した場合には、給付金の返還等を行うこと」が示されており、要するに不正受給でないことを宣誓するというわけです。

そうした宣誓要件があるとはいっても、残念なことに相当数の不正受給がなされているであろうことは想像に難くありません。

不正受給の問題

今回の持続化給付金は、給付の緊急性に鑑みて、従来の補助金等の申請に比べると申請手続きも容易であって、添付必要書類も比較的簡単なもので済むように設計されています。書面によることなく、オンラインで申請できることも特徴の一つといえましょう。

しかし、それを逆手にとって、虚偽の書類を作成することもまた簡単ということであるのかもしれません。

不正受給に該当する場合、中小企業庁長官は、当該申請者との間の贈与契約を解除し、当該申請者は、給付金の返還に年3%の延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額を支払う義務を負うこととされています(規程8章(2)①)。

また、事務局は調査の結果、原則として申請者の屋号・雅号等を公表し、その内容次第では、不正受給者を告発すると規定されていますが(同②③)、その実効性については、今後の実際の動向を見守るしかないでしょう(なお、その実行力を高めるべく、不正受給の「調査」を国税当局に委任すべきとの提案として、酒井克彦「給付金の不正受給調査に係る若干の提案」税務経理(近日掲載予定))。