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2020年上期M&A  件数は11年ぶりの高水準もコロナ禍の影響で案件小口化

会計事務所の中でも、顧問先企業の事業承継の一つの選択肢として注目しているM&A(合併・買収)。M&A(合併・買収)仲介サービス大手のストライク(東京・千代田区、代表取締役社長=荒井邦彦氏)によると、2020年第1四半期(1~3月期)のM&A件数は、過去10年で比較しても高水準だったが(https://kaikeizine.jp/article/15508/)、4月以降は新型コロナウイルス感染症拡大で経済活動が落ち込んでいる。2020年の上半期で見ると、M&A市場はどうなっているのだろうか。

ストライクが運営する「M&A Online」の集計によると、2020年1~6月(上期)のM&A件数は、406件と前年同期を11件上回った。4年連続の増加で、上期として439件だった2009年以来の高水準となっている。日本国内は、3月中旬から新型コロナウイルス感染拡大に伴い経済状況は悪化、コロナ倒産も増えてきているが、M&A市場は、日銀による金融緩和や資金供給策もあり、企業の資金調達環境が改善していることを背景に堅調な動きを見せている。

上期の全406件を四半期でみると、1~3月が前年同期比10件増の232件、4~6月が同1件増の174件となっている。このうち海外案件は合計68件で、前年86件を20件近く下回る。単月では6月は9件と、2018年6月以来2年ぶりに月間1ケタとなっている。

取引金額については、上期は1兆4671億円で、前年同期の2兆1605億円より約32%減った。なかでも海外案件については、3月以降は件数減に転じたうえ、金額の大きいM&A事案がほぼなくなった。

4~6月の取引金額は3501億円(前年同期は1兆4288億円)と、過去10年間で2013年(3481億円)と並ぶ最低水準。ただ、4~6月は金額未確定ながら、比較的大型の案件も散見された。三井E&Sホールディングスが艦船事業を三菱重工業に譲渡する方向で協議入りしたほか、オリンパスはデジタルカメラなどの映像事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに年内をめどに売却すると発表している。

海外案件の件数減と並行し、コロナ禍の影響で顕著になってきたのが案件サイズの小型化。上期中、取引金額100億円を超える大型案件は19件で、前年同期の30件から3割以上減っている。月別の推移は1月4件、2月8件の後、3月2件、4月1件、5月2件、6月2件となっており、海外案件の低調が背景にある。

上期を総括すると、日本企業のM&A意欲は総じて底堅く推移したものの、国内回帰と案件の小型化が顕著になってきたことが挙げられる。下期については、コロナ禍で影響で上期に新規案件の仕込みができなかったことや、案件の着手が遅れたことなどが影響し、秋以降は一時的に案件が枯渇するとの見方もある。

取引金額の上位20は次の通り(金額は計画公表時のもの)。

1、三菱商事、中部電力と共同で蘭エネルギー企業エネコを子会社化(約5千億円)

2、アークランドサカモト、LIXILビバをTOBなどで子会社化(1085億円)

3、ニチイ学館、米投資ファンドのベインキャピタルと組みMBOで非公開化(約999億円)

4、前田建設工業、前田道路をTOBで子会社化(861億円)

5、総合メディカルホールディングス、投資ファンドのポラリスと組みMBOで非公開化(763億円)

6、米ベインキャピタル、三井E&Sホールディングス傘下の昭和飛行機工業をTOBで子会社化(694億円)

7、大王製紙、丸紅と共同でブラジルの衛生用品メーカー大手Santherを子会社化(584億円)

8、新生銀行、ニュージーランド最大手のノンバンクUDC Financeを子会社化(515億円)

9、ノーリツ鋼機、DJ・クラブ機器大手のAlphaTheta(旧パイオニアDJ)を子会社化(350億円)

10、豆蔵ホールディングス、投資ファンドのインテグラルと組みMBOで非公開化(344億円)

11、オーデリック、MBOで非公開化(306億円)

12、グローリー、セルフ注文・決済機器大手の仏アクレレック・グループを子会社化(242億円)

13、META Capital、澤田ホールディングスをTOBで子会社化(208億円)

14、SBSホールディングス、東芝傘下の東芝ロジスティクスを子会社化(199億円)

15、東海カーボン、炭素黒鉛製品メーカーの仏Carbone Savoieを子会社化(197億円)

16、ツムラ、漢方製剤用原料の中国「盛実百草」を子会社化(187億円)

17、共英製鋼、カナダのMCアルタスチールから電炉事業を取得(155億円)

18、タムロン、創業家資産管理会社のニューウェルを子会社化(144億円)

19、カルビー、サツマイモ加工卸のポテトかいつかを子会社化(139億円)

20、シャープ、NEC傘下のNECディスプレイソリューションズを子会社化(92.4億円)

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著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/
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