飲食店にとって金融機関から融資を受けることは資金調達の王道です。そこで、「融資の基本知識」について紹介します。今回は、プロパー融資と保証協会付き融資について説明します。

目指すべきはどちらの融資!?~プロパー融資or保証協会付き融資~
都内でイタリアンを1店舗経営しているeさんは、2店舗目の出店物件が見つかったので、金融機関の担当者に融資の相談をすると、「今回の融資は保証協会付きでお願いします」と言われましたが、その意味が分からず困っていました。
融資を受ける場合には、金融機関が独自で融資をするプロパー融資と信用保証協会の保証を付ける保証協会付き融資の2種類があります。保証協会付き融資は、借主が返済できなくなった場合、金融機関は信用保証協会から代位弁済をしてもらえるので、信用力が弱い会社は保証協会付き融資を勧められるケースが多くなります。保証協会付き融資には、保証の限度額=保証枠があり、一般保証の場合、無担保枠は8千万円、担保を含めれば2億8千万円となっています。この他にも災害時等に使えるセーフティネット保証や危機関連保証などの別枠が用意されています。
ただし、保証協会付き融資の場合は保証協会への保証料支払いが発生しますので、借主は借入額の0.5%から1.5%程度の費用負担が生じます。この保証料は金融機関への利息の支払いとは異なり、融資を受けた際に一括にて支払うことが多く、必ず資金計画へ盛り込む必要があります。例えば、1500万円の融資で、10年の分割返済の一般保証の場合は、料率が1.0%ですと、保証料は約82.5万円も発生してしまいます。それに比べ、プロパー融資は金融機関が単独で融資をするので、保証協会への保証料の支払いが発生しません。調達コストや保証枠の観点からは、プロパー融資は保証協会付き融資より明らかに有利です。そのため、できるだけ早くプロパー融資を目指すことをお勧めします。
<信用保証協会付き融資の仕組み>
プロパー融資を受けるためには信用が大事!
その後eさんは、飲食店専門の税理士に相談し、会社の状況に応じてプロパー融資と保証協会付き融資を使い分けられるように、「早くプロパー融資を受けられる会社を目指した方がよい」と教えてもらいました。メインバンクにプロパー融資を受けたい旨を伝え、信用を築いていくことで、3店舗目の出店の際にはプロパー融資を受けることができました。
プロパー融資は借主が返済できなくなった場合の貸し倒れリスクを金融機関が100%被ることになるため、審査は保証協会付き融資よりも厳しくなります。プロパー融資を受けるためには、金融機関から信用されることが必要となります。
そのためには、金融機関の担当者と将来の夢や事業計画について日頃からコミュニケーションを図り、その裏付けとなる売上入金などの預貸金取引、個人の資産状況等について相互理解を深めておくことが大切です。また、支店長は融資において大きな権限を持っているため、応援したいと思ってもらえるように決算説明を利用して支店長へアピールすることも重要です。
金融機関の融資判断は事業計画の妥当性、会社状況、担保、保証人提供の有無(保全)、他行の状況等により判断されますが、最終的な判断材料は経営者の手腕および、人柄です。特に飲食店の場合、金融機関から経営者の人となりを信用してもらえるか、否か、が重要ポイントとなるケースが多いようです。
飲食店の財務戦略はプロパー融資と保証協会付き融資の使い分けから!そのために、できるだけ早くプロパー融資を受けられる会社になることが大切です。
「顧客目線」「嗅覚」がカギ! 選ばれる税理士の “回答力”
2020年6月に清文社からCredo税理士法人の2冊目の本が出版されました。今回は、弊社の顧問である元国税調査官の飯田真弓先生との共著となっています。
税理士事務所を舞台に税務トラブルを小説調で解説していく読みやすい本となっています。メインの話は個人の飲食店に関する税務の解説本になっているので、経理に携わっている方も、飲食店の方も読みやすいと思います。ご興味がある方は是非チェックしてみて下さい。
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