国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

KaikeiZine

注目キーワード

学生が詐欺罪容疑で逮捕!持続化給付金の「不正受給」のペナルティはこんなに重い

5月1日に始まった持続化給付金は、新型コロナウイルスで収入が激減した事業主の救済策となりました。一方、不正受給や悪徳業者の横行の噂も耳にします。「スマホで軽く100万円」なんて聞くと誰でも心が揺れる不正受給、実はかなり大きいリスクをはらんでいるのです。

■22日、持続化給付金の不正受給で大学生が逮捕

今月22日、山梨県警が埼玉県在住の大学生を持続化給付金に関わる詐欺の疑いで逮捕しました。この大学生は実態がないにもかかわらず5月半ばに個人事業主として確定申告、年間事業収入欄に架空の売上を記入して100万円の持続化給付金を受給していた模様です。

ただ、これは氷山の一角に過ぎません。この事件が明るみに出る以前から不正受給の噂はインターネット上に出回っていました。

●経済産業省が7月から不正受給の調査を開始

持続化給付金を管轄する経済産業省は今月上旬から不正受給の調査を始めたことを明らかにしました。簡素な手続きが不正受給の温床となっていること、さらに「誰でも貰える」とサラリーマンや主婦、無職や学生といった本来受給資格のない人に不正受給を促し、申請代行をもちかける悪徳業者の横行が背景にあるようです。事実、SNSでは一時期、持続化給付金の申請代行を勧誘する不審なアカウントが散見されました。こういった現象も簡素な手続きが一因とみられます。

●手続が簡単な持続化給付金

どれくらい手続きが簡単なのかをここで見てみましょう。持続化給付金は基本的に、次の書類があれば申請できます。

  • ・2019年の確定申告書第一表+青色申告決算書等(個人事業主)又は事業概況説明書(法人)の各控
  • ・売上が減ったことが分かる書類(売上台帳など)
  • ・本人確認書類(マイナンバーカードや運手免許証など)
  • ・預貯金の口座情報

申請はPCやスマホでできます。オンライン申請に自信がないならサポート会場でスタッフに手伝ってもらいながら申請すればよいのです。

【参考】

「スマホでもできる持続化給付金0518」(経済産業省)

「持続化給付金サポート会場一覧」(経済産業省)

手続が簡単なのは迅速な支給を主眼に置いたがゆえですが、だからこそ不正受給を招いているといえます。

■持続化給付金の不正受給になる行為とは

不正受給とされる行為は主に次の4つのような行為です。

●二重申請

持続化給付金は本来1回だけしか申請・受給できません。2回受け取ったら不正受給になります。中小企業の経営者がいったん会社で持続化給付金を申請・受給した後、フリーランスとして申請し給付金を受け取ったら二重申請に該当するのです。

●恣意的な売上操作

持続化給付金は今年の特定の月の売上が前年に比して少なければ少ないほどたくさんもらえます。そのせいか、事業主の中にはわざと売上計上を先送りしてなるべく多く受給しようとする人もいるようです。この行為が悪質であれば不正受給に該当します。

●資格がないのに偽り受給

無職やサラリーマン、学生などが個人事業主と偽って申請・受給するのも不正受給です。独立して事業を営んでいるわけでもないのに「ハンドメイドで生計を立てている」と嘘の決算書と確定申告書を作成し、嘘の売上台帳を作成して申請・受給するのがこれにあたります。

ただし、実質個人事業主なのに契約先の都合で「給与所得」「雑所得」で報酬を受け取っているなら不正受給にはなりません。

【参考】雑所得・給与所得のフリーランスも29日から対象に!持続化給付金の受給要件まとめ

●コロナ禍ではない原因も不正受給

持続化給付金の趣旨・目的はあくまでも新型コロナウイルスの影響により収入減となった事業主の救済です。そのため、減収の原因がコロナ禍ではなく契約打ち切りといった別の要素であるにもかかわらず給付金を受け取れば不正受給になります。

「日本郵政グループの営業社員約120人が不正に持続化給付金を申請していた」と6月下旬に報道されました。これはコロナ禍ではなく不適切販売問題による営業自粛なのに申請したから問題になったのです。

この他、制度趣旨や目的に沿わない内容も不正受給に当たると見られます。

■不正受給したときのペナルティ3つ

もし持続化給付金の不正受給が発覚すると次の3つのペナルティが科されます。

●「受給額+α」を返還する

持続化給付金の不正受給がバレると、給付額の返還が求められます。ただし給付額そのものだけでなく次の金額も請求対象です。

  • ・延滞金:給付額×年3%×(給付の日の翌日から返還の日までの日数)/365日
  • ・(給付金の額+延滞金の額)×20%

また、返還請求に応じない場合には、民事訴訟が提起され、返還せざるを得ない状況になる可能性があります。

●不正受給者の公表

不正の内容の度合いによっては、屋号やペンネームなどが公表されます。

●詐欺罪として刑事告訴

不正内容が悪質だと見られれば、詐欺罪として刑事告訴の対象となります。

■悪徳業者の甘言には要注意

以上3つは不正受給そのもののペナルティですが、業者の甘言に乗って申請代行を依頼すると、さらに怖い現実が待っています。それは個人情報の悪用です。

申請代行を依頼すると、業者に氏名や住所、預貯金口座や収入、生年月日といった個人の重要な情報を渡すことになります。マイナンバーカードや運転免許証の画像を素性の分からない相手に渡すわけです。相手によっては個人情報を犯罪に利用することもあるでしょう。

■不正受給がバレれば社会的信用を失う

不正受給でもっとも大きい損失は社会的な信用の喪失です。冒頭にご紹介した大学生は、今回の件で将来の就職や転職、ローン申請が難しくなるかもしれません。たった100万円でこの先の長い人生を棒に振ってしまうかもしれないのです。

この他、家賃支援給付金や各種補助金といったコロナ禍関連のお金がありますが、いずれも不正受給は厳しく追及されます。目先のお金につられることなく、甘い言葉には乗らないようにしましょう。


バナーをクリックすると㈱レックスアドバイザーズ(KaikeiZine運営会社)のサイトに飛びます

最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。

 

◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします

メルマガを購読する


 

(関連記事)

家賃支援給付金は地方自治体でも!どんなものがあるの?

家賃支援給付金7/14から申込!何が変わった?個人事業主の注意点を解説

税金納めるだけじゃない?フリーランスなら確定申告しておくべき4つの理由

雑所得・給与所得のフリーランスも29日から対象に!持続化給付金の受給要件まとめ

【飲食店オーナー必見!是非使いたいコロナショックの支援制度3選】

税理士がコロナ不況に強い3つの理由!国のお金で資格を取ろう

コロナ救済策は雇用しているテナントだけじゃない!フリーランスも使えるお金まとめ

確定申告で還付なのに納税って?フリーランスなら知っておきたい住民税の計算・納付の基本

コロナ救済策「家賃支援給付金」が閣議決定!法人最大600万円、個人最大300万円の家賃補助

コロナで注目だけど今さら聞けない…補助金・助成金・給付金の違いって何?

新型コロナの助成金・給付金に課税なんて……課税・非課税の基本的な所得税法の考え方

【自粛してから夫がウザい…コロナ離婚したい妻が知っておくべき税金の知識】

【支払いを減らそう!コロナ禍に負けたくないフリーランスがやるべき猶予・減免策3つ】

著者: 鈴木まゆ子

税理士・税務ライター

中央大学法学部法律学科卒業後、ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。ZUU online、納税通信、朝日新聞『相続会議』などメディアで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著)

ページ先頭へ