7月14日から申し込みが開始の家賃支援給付金。以前概要をお伝えしましたが、第二次補正予算成立後、一部に変更が生じています。今回は個人事業主が注意すべきポイントを見ていきます。

「コロナ禍の今、雇用維持にがんばってもウチにはバイト・パートしかいないから助成金をもらうなんて無理」と思っていませんか?実は雇用保険に加入していなくても「緊急雇用安定助成金」という助成金がもらえるのです。

解雇するのはまだ早いかもしれません。

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■雇用保険に入っていない事業主は雇用調整助成金の対象外

新型コロナウイルス対策で注目される国のお金の一つが雇用調整助成金です。これは、コロナ感染防止策として従業員を休業させ、かつ休業手当を支給した事業主に対し支給されます。ただし、雇用調整助成金は雇用保険に加入している事業主や被保険者が対象です。

ではバイト・パートが大半の事業主や雇用保険の適用事業所になっていない事業主が従業員をクビにせずに雇用維持にがんばってもムダなのか…というとそうではありません。バイト・パートに対して休業期間中に休業手当を支払っていれば「緊急雇用安定助成金」が受け取れます。

とはいえ、緊急雇用安定助成金も無条件でもらえるわけではありません。労災保険の加入事業者、労災保険の暫定任意適用事業主の内「農業等個人事業所に係る証明書」を申請時に添付する事業主が対象です。また、雇用保険適用事業者であっても、雇用保険の被保険者でない従業員への休業手当の助成は緊急雇用安定助成金になります。

なお、雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金の2つは同時に申請が可能です。

■緊急雇用安定助成金とは

緊急雇用安定助成金の制度の概要は次の通りです。

●給付を受けられる事業主

次の要件に該当する事業主が給付を受けられます。なお、全業種が対象です。

  • ・新型コロナウイルス感染症の影響で経営環境が悪化し、事業活動が縮小した
  • ・最近1カ月間の売上高や生産高が前年同月に比べて5%以上減少している事業所(柔軟な取り扱いあり)
  • ・労使間協定によって休業を行い、従業員に休業手当を払った(休業手当は平均賃金の60%以上)
  • ・令和2年1月24日以降から休業手当を支払った期間の末日までに解雇等をしていない、あるいは雇用を維持していること

●対象となる労働者

対象となるのは、パートやアルバイトなど、雇用保険に入っていない労働者です。雇用保険に加入している従業員は雇用調整助成金の対象になります。

●助成額と助成率

原則、助成額は「(平均賃金額× 休業手当等の支払率)× 下表の助成率」で求めた金額です(上限額は1日1人あたり1万5千円)。

出典:厚生労働省 雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

 

ただ、従業員が20人以下の小規模な事業所での助成額計算はよりシンプルです。次の計算式で算出した金額のうち、より低い金額が助成額になります。

  • ・休業手当の合計額×上の表の助成率(4/5または10/10)
  • ・1万5千円×休業延べ日数

なお、「休業手当の合計額」や「休業延べ日数」には別途計算式があります。

【参考】緊急雇用安定助成金マニュアル(20人以下の事業主向け)(厚生労働省)

また、後述する北海道の「緊急特定地域雇用安定助成金」については助成率は4/5となっています。

●対象となる休業期間

対象となる休業期間は次のようになっています。

北海道…令和2年2月28日から9月30日までに設けられた休業期間

北海道以外の地域…令和2年4月1日から9月30日までに設けられた休業期間

※北海道については、令和2年2月28日から3月31日までは緊急特定地域特別雇用安定助成金で対応することになります。

●申請書類と添付書類

申請書類は次の3つの書類です。ただし、雇用調整助成金と同時に申請するときは、3.は不要です。

  1. 緊急雇用安定助成金支給申請書(様式新小第1号)
  2. 休業実績一覧表(様式新小第2号)
  3. 支給要件確認書(様式新小第3号)

この3つの申請書は厚生労働省のウェブサイトで配布しています。

【参考】雇用調整助成金の様式ダウンロード(新型コロナウイルス感染症対策特例措置用)

また、添付書類は以下の通りです。

  • ・比較した月の売上などが分かる書類(売上帳簿、レジの月次集計、収入簿など。休業した月と1年前の同じ月の2か月分が必要、ただし2回目以降は提出不要)
  • ・休業させた日や時間が分かる書類(タイムカード、出勤簿、シフト表など)
  • ・休業手当や賃金の額が分かる書類(給与明細のコピーまたは控、賃金台帳など)
  • ・役員名簿(生年月日の記載があるもの。役員1人だけの会社や個人事業主は不要)
  • ・通帳やキャッシュカードのコピーで口座番号やフリガナがわかるもの(振込ミス防止用、2回目以降は不要)

●申請方法

申請は事業所の住所を管轄する労働局かハローワークに対して行います。申請方法は次の3つのどれかです。

  • ・窓口提出
  • ・郵送(申請期限必着、配達記録や簡易書留など配達の記録が残る方法で郵送する)
  • ・オンライン(から申請する)※令和2年8月17日現在、システム障害により運用停止中

●申請期限

申請期限は支給対象期間(休業手当を払った期間)の末日の翌日から2か月以内です。ただし、休業手当を支払った対象期間の最初の日が4月1日から5月31日までのどこかにあるなら、8月31日が申請期限になります。