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経営状況の厳しいクライアントや落ち込む部下に寄り添う対応(傾聴編)

新型コロナウイルス感染症の影響で、厳しい経営状況に置かれている会社も少なくありません。この記事を読んでおられる方の中には、そのような会社の経営者からご相談を受けることもあるでしょう。また、クライアントに限らず、仕事やプライベートで問題を抱えて落ち込んでいる部下から相談を持ち掛けられることもあるかもしれません。そのような相談を受ける際に活用できる傾聴のポイントを説明します。

新型コロナウイルス感染症の影響は業種などによっても異なり、経営状況の深刻さはさまざまですが、長引く影響で切羽詰まった状況になってきている事業者もあります。そのため、相談される経営者がとても落ち込んでいたり怒っていたりする場面もありえます。そのようなときの対応として、まずは心理的に落ち着いてもらう必要があり、「傾聴」が重要になってきます。傾聴はカウンセリングで活用されてきたコミュニケーションの技法であり、信頼関係を構築して、感情的な安定をもたらす効果があります。介護施設などで高齢者の方から話を傾聴する「傾聴ボランティア」もあるように、話を聞いてもらうことで心が癒されます。ビジネスにおいても、特に相手の心理状態が低下しているときは、傾聴が重要になります。

■落ち込んでいる人の心理状態

新型コロナウイルス感染症の影響で経営状態が厳しい中、思わぬ支出があり資金繰りが一層苦しくなった、金融機関に融資を申し込んでいたがそれが断られてしまった、というような出来事があると心理的に落ち込んでしまいます。このときの心理状態としては、拒否されて落胆する気持ち、悲しみや怒り、これから先どうなるのかという不安、どうしたらよいか分からない混乱した気持ちなどになります。また、部下が大きな受注を失ったり、仕事で大きなミスをしてしまったり、プライベートで不幸があったりしたときも、同じような心理状態になるでしょう。

そのような悲嘆の底にある人に、励ましやアドバイスの言葉を投げかけてもなかなか届きません。そう言われても今が辛くて、なかなか前向きに考えられないものです。こういうときは、傾聴をしてまず心理状態を回復してもらうことが重要になってきます。

下の図にあるように、不安や悲しみ、混乱といった心理的にマイナスの状態に陥っている人が一気に前向きに意欲が漲った状態になるのは難しく、心理的な安心や安全を得ながら心理的な状態を高めていく必要があります。このとき重要になるのが傾聴です。

傾聴とは話をきくことですが、話を「きく」といっても、次のようにいろいろな「きく」があります。

・聞く:音や声が耳に入ってくる、テレビやラジオを聞くような聞き方。

・聴く:聴くという漢字は、耳に目と心を+(プラス)すると書きます。相手に目と心も向けて集中して聴く、傾聴するときの聴き方。

・訊く:尋ねる、質問するときの「きく」。

落ち込んでいる人の話をきくときには「聴く」ことが大切です。特に最近ではテレワークの実施で、オンラインや電話で話をきく場面も多いと思います。オンラインでの相談は画面があるとはいえ、対面で会うよりもその人に関する情報量が少なくなります。その人の顔色や姿勢、体調などが分かりづらくなりますので、聴くことで分かる情報がより大切になります。また、経営相談においては、状況を正確に詳しく把握する必要があります。それによって、対処の方針や提示できる施策が変わってくるためです。詳しくヒアリングをするためにも、傾聴が大切になります。

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