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その手があったか 酒井威津善の【儲けのヒント】〜第12回 自社のリソース①〜

8月に入り、新型コロナウィルス感染症は緊急事態宣言以前のような様態になりつつあり、依然予断を許さない状況が続いています。その一方で、ワクチン開発が国内外で着実に進んでおり、ビジネスの場面ではそろそろ「ポスト・コロナ」環境を想定しておく必要がありそうです。
そうした中、新しい事業を考える(もしくは既存事業を見直す)上で、ポイントとなるのが「これまでにない切り口」をどうやって見つけるか、です。
第12回目は、「自社のリソース」その1です。

リソースとは何か

売上につながる「資源(リソース)」です。例えば、人材やノウハウ、社内設備や顧客リストといったものが該当します。ぜひ、現在のビジネスを支えているものを洗い出してみましょう。そうすれば、次の儲けのしくみを考える際に、必ず役に立ちます。

リソースを転用できないビジネスはキケン

今あるリソースを転用しないビジネスは、断言しますがオススメしません。これには2つの理由があります。1つは「差別化」が難しくなること。もう1つが、必要以上にコストがかかること、です。

とくに重要なのが2つめです。リソースを転用するのは、このためといっても過言ではありません。

例えば、(かなり極端ですが)ラーメン屋からファッション関係に参入しようと試みる。ラーメン屋のリソースでファッション関係に使えるものは、おそらく「接客ノウハウ」くらいでしょう。調理設備やレシピはどう考えても役には立ちそうにありません。結果、ほとんど一からビジネスを作り上げることになります。

業界の特性、関連する法規、必要となる人材の確保や、さらにその業界の「肌感覚」がないために、しなくても良いミスを起こします。結果、“時間的コスト”もかかります。新しいビジネスを考える際、これからご紹介する「自社のリソースが活きる」ビジネスをまず検討してみましょう。

■リソースの種類

とはいえ、リソースを探すといってもどこから探せばいいのか。オススメは「財務諸表」です。P/L、B/S、C/Fのうち、洗い出しに活用できるのは、P/LとB/Sです。順に見ていきましょう。

まず、P/L(損益計算書)。見て頂きたいのは、次の3つの項目です。

①売上高

売上高は、どのような商材やサービスによって、売上を立てているのか。そして、販路に分解できます。

特に販路は重要です。仮に、次なるビジネスでの商材で流用できない場合でも、他社との提携でインフラとして貸し出すといった転用などの可能性を秘めているリソースです。

②売上原価

原価には大きく、「外注」と「仕入」、事業によっては、自社の「労務費(給与)」などもあるかもしれません。注目すべきは、「外注先・仕入先」です。

仕入先や外注の依頼先は、新しいビジネスにおいても、なにかをお願いできる可能性があります。直接的な依頼ではなくても、新しい顧客になる可能性、顧客の紹介の可能性もあります。何かの成型をお願いしている先、もしくは作業をお願いしている先なら、新しいビジネスでも作業依頼できるかもしれません。

販売先(顧客)を見つけるというのは大変な労力ですが、こうした仕入・外注先も一から見つけるとなると相当手間がかかります。築き上げた信頼関係も強力なリソースの1つです。ぜひ、どのような企業があるのかを洗い出してみてください。

③販管費及び一般管理費

損益の最後は、販管費。

たくさんの項目が並びますが、これらの中でリソースになり得るものはというと、役員報酬と給与、つまり人件費。特に社員が持っている「資格」や「スキル」、「経験値」などが注目すべき点です。

普段、通常業務を遂行している分にはなかなか知り得ない人的リソースを整理する。これだけもかなり価値があります。

続いて貸借対照表です。

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