前回に引き続き、日本の税金のしくみを見ていきましょう。今回は日本の財政状況がテーマです。現在、国の毎年のお金の3割超は、借金でまかなわれています。

■「私たちの税金で」のはずが実は借金だった

「こんなことに私たちの血税を使うなんて」という決まり文句を新聞や雑誌、書籍で目にしたことのある方は多いでしょう。自分たちが苦しい思いをして払った税金の一部がムダ遣いされているかのようなニュースを見ると確かに腹が立ちます。

しかし、もしかしたらその出所は税金ではなく「借金」かもしれません。特に医療・介護・年金といった社会保障、そして今年私たちを悩ませたコロナの対策費は公債という名の借金が財源です。

例年、日本の歳入における税収の割合は6割強しかありませんでした。残りはほぼ借金です。歳出の項目によっては「私たちの税金が」ではなく「どこかの誰かが買った国債が」という話になるわけです。国が私たちに使うお金はもはや、税金だけでカバーできなくなっています。

■毎年歳入の3割超は借金…しかし累積債務は1千兆円に

ここで日本の財政の状況を見てみましょう。

財務省「税の現状を知ろう」より)

これは令和元年度分の一般会計の歳出・歳入です。近年の財政は毎年ほぼこのような構成になっています。

太い赤線で囲った部分が国の借金を表します。毎年30兆円超借金をする一方、返済に充てているのは約23兆円です。つまり全額返済できていません。返済の内訳をみると、約14兆円が元本、9兆円弱が利息となっています。「毎年30兆円借金しながらも約半分しか返せていない」のが現状です。

このような財政が毎年繰り返されているのです。返せない借金が積み重なれば当然残債は膨らみます。現在、日本の普通国債の残高は1千兆円に迫っています。

財務省「日本の財政関係資料」の「4.普通国債残高の累増」より)

数年前から「日本の借金残高は1千兆円を超えた」と言われていますが、これは国の借金残高900兆円超と地方自治体の借金190兆円超を足し合わせたものです。国だけならまだ1千兆円以下にとどまっています。しかしこの金額を超えるのは時間の問題でしょう。