■借金の増加の原因は「少子高齢化」

「なんでこんなに借金しないといけないの?」。日本人の多くが持つ疑問です。背景には少子高齢化による社会保障費の増加があります。

ここで、先ほどの円グラフで見た借金がどこに使われているのかを見てみましょう。

財務省「日本の財政関係資料」の「23.社会保障分野」より)

「国庫負担34.1兆円」の内訳が明示されていません。ただ「建設国債=公共事業費」「特例国債=それ以外(いわゆる赤字国債)」であること、特例国債の年間発行額が25兆円強であったことを考えると、国庫負担の7割超が借金だと見られます。借金を充ててやっと医療や介護、福祉といった公的サービスが行えているわけです。

「借金は本当に社会保障にだけ使われているの?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。ここで、人口の年齢の推移のグラフと先ほどの普通国債残高の累計のグラフを照らし合わせてみましょう。

財務省「日本の財政関係資料」の「23.社会保障分野」より)

先ほどの普通国債残高のグラフで特例国債が急激に増え始めたのは平成10年頃です。平成10年は1998年に当たります。

では、人口の年齢の推移のグラフを見てみましょう。1985年(昭和60年)から1995年(平成7年)までの間で65歳未満の人口が減少に転じています。65歳以上の増加の幅が大きくなり始めています。さらに75歳以上は1995年(平成7年)以降、急激に増えています。

ここから特例国債の増加には少子高齢化による医療・介護・福祉にかかるコスト増があると読むことができます。