税金のしくみシリーズ最後です。今回は借金にスポットを充てつつ、今注目されるMMTについて触れていきます。
■「借金1000兆円はヤバい」と国は言うけれど
「日本の借金は1000兆円に迫りつつある」と前回お伝えしました。
【参考】知っておきたい「税金のしくみ」③私たちの「血税」のはずが…実は借金
膨大な累積債務残高、ますます進行する少子高齢化を背景に、国は財政支出を引き締めるとともに「広く薄く負担を」「将来に負担を先送りしない」として消費税を数年前から段階的に引き上げてきました。高福祉・高負担のスウェーデンなどを引き合いに「消費税を引き上げても経済成長に影響はない」として政府の方針を支持する学者もいます。
しかし緊縮財政と消費税増税は日本の経済の安定と成長に暗い影を落としています。
●消費税増税で景気が落ち込む
令和元年10月、消費税の標準税率が8%から10%に引き上げられました。増税によるダメージを緩和すべくポイント還元制度と軽減税率も導入されましたが、引き上げの影響は大きく消費支出は一気に冷え込みました。
上記グラフから、消費の低迷は増税が原因であると分かります。事実、昨年10月の消費支出は前年同月比で5.1%減。そして年明けの新型コロナウイルス感染症が消費の低迷に拍車をかけ、減少率は前年同月比で3月6.0%、4月11.1%、5月16.2%となりました。
今年の消費の冷え込みはコロナ禍による休業・失業の増加が最大の原因です。しかし「消費税率10%」という視覚で分かる税負担の大きさも少なからず影響していると考えてよいでしょう。