論点が変わると議論や文章が変わるように、ビジネスもまるで違うものに生まれ変わる可能性を秘めています。新規発想のショートカットになりうる論点について3つの事例を交えながらご紹介します。
【儲けのしくみ】ビジネスモデル構築の極意の第17回は、「論点」。
前回に引き続き、ビジネスモデルにおける論点を活かした発想について事例とともにご紹介していきます。ぜひ、新しいビジネスの切り口として活用してください。
論点とは
論点とは、議論や文章などの全体を貫く「主張」のこと。
議論や文章で論点を変えると、大きく話が変わってしまうように、ビジネスも同様に、まるで異なるものに変わり、結果、競合との差別化を生み出してくれます。
例えば、前回ご紹介した三越伊勢丹百貨店の例では、旧来からあるターミナル駅接続型の大型店舗から、オンライン接客を併用した地方都市での小型店舗の展開へと切り替えることで、その論点を「立地」から「顧客との新しい接点」に置き換え、新しい百貨店のスタイルを生み出そうとしていましたね。
続けて、今回はさらに3例をご紹介しましょう。
論点を変えた事例✕3
1例目は、「ラベルレス飲料」。
コンビニなどですでに見かけた方も、実際購入された方もいると思います。
ペットボトルに、シールやラベルが一切なく、透明なペットボトルだけで販売されているものです。
発売意図は、もちろん環境意識の高まりを受けたものです。
しかし、よく考えてみると、ここに「論点」の変化があることがよくわかります。
少し前まで、ペットボトル商品には、ラベルの他、タイアップ商品などのシールなどがたくさん付属していました。
これらが一切なくなったことで、ペットボトル飲料における論点が、「広告的要素」から「環境配慮の先鞭」に変わっているのです。
2例目は、「冷やし焼きいも」。
2年ほど前から、ローソンやセブン・イレブンなどのコンビニエンス・ストアでスイーツコーナーに並ぶようになり、今では専門店も登場するほどのプチ・ブームを博すまでになっています。
「焼き芋専門店 やきいも丸じゅん」
https://yakiimo-marujun.shop-pro.jp/
焼き芋といえば、寒くなるこの時期、軽トラックなどでアツアツのものが販売されるのが一般的なイメージ。その論点を「熱い」から「冷たい」に変えたのが冷やし焼きいも。
冷えてもおいしく食べられる工夫は当然必要ですが、そもそも焼き芋であることには変わりません。
3例目は、「個人向けM&A」
M&Aといえば、法人が法人を買収するイメージです。
この論点を「法人」→「個人」に切り替えたのがこれです。
近年は、300万円、500万円といった個人でも購入可能な買収規模のものが増え、事業承継問題と重なって、新たな潮流になりつつあります。