飲食店にとって金融機関から融資を受けやすくするためには財務体質の強化が重要となります。そこで今回は財務体質を強化する上で、具体的に押さえてほしい3つのポイントについて説明します。
財務体質を強化するための3つのポイント
「金融機関が融資をしたくなる返済が確実に見込める会社」になるために、具体的に押さえてほしい指標があります。それは(1)現金および預金、(2)自己資本(3)借入金です。それぞれの指標を見ていきましょう。
(1)現金および預金
金融機関は決算書を見る際に、現預金がいくらかを見ることで、その会社の安全性を確認しています。それでは、現預金はいくら持てばよいのでしょうか。
会社の安全性を確認する一つの目安として、現預金を月商の何ヵ月分持っているかが使えます。金融機関は、月商1ヵ月未満の現預金しかない会社を自転車操業の不安定な会社だと見ています。自転車操業の不安定な会社だと見られないためにも、少なくとも月商1ヵ月分は現預金を持っておきましょう。理想は3ヵ月分の現預金を持っている会社が財務的に優秀で、2ヵ月を超えてくると経営が安定するため資金調達が伸びてきます。現在の新型コロナウィルスによる厳しい経営環境下では3ヵ月分の現預金の現預金を持っておくことが、会社を存続させるためには特に重要となります。
注意してほしいのは、この現預金は借入で調達した現預金でも大丈夫という点です。現預金があり安全な会社であると金融機関から見られれば、資金調達力も伸びますし、利息の金利も落とせますので、現預金は融資を受ける可能性が一番高い、メイン銀行に預けておくのがよいでしょう。
(2)自己資本
自己資本とは貸借対照表の純資産の金額のことを言います。(純資産に新株予約権、少数株主持ち分(非支配株主持ち分)がある場合にはこれを除いて計算します)。言葉通り、自社で蓄えた返済する必要のない資金源泉です。自己資本を増やすためには、基本的には(a)資本金を増やす(b)納税して利益を残すの2つしかありません。つまり、「会社が今までいくら儲けてきたのか」を自己資本から把握することができるのです。総資産に占める自己資本の割合(自己資本比率)が30%以上であれば理想的ですが、まずは20%以上を目指しましょう。
逆に、純資産の部がマイナスになっていることを債務超過と言い危険な状態を表します。この状態が継続されると倒産へ近づくことになり、金融機関からは融資を受けることが難しくなりますので、債務超過を早期に脱することが重要です。