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地域密着型の事務所が港区青山への進出に成功した理由【税理士法人わかば 中野雅仁氏】

東京都町田市と港区青山に拠点を構える、税理士法人わかば。前身となる鈴木文雄税理士事務所の設立から34年にわたってお客様を支え続けている同社は、ITの導入も進んでいてコロナ禍におけるリモートワークへの移行もスムーズであったという。今回は青山支店代表税理士の中野雅仁氏に青山支店の立ち上げや経営戦略、組織の体制についてお話を伺った。(取材・撮影:レックスアドバイザーズ 村松)

御社の特徴や強みを教えてください。

当事務所は、代表が大手税理士法人の出身なので、外資系の部署があります。町田にあるけれども外資の比率も高く、幅広いお客様に対応している点が特徴です。昔は6~7割が外資でした。しかし、リーマンショックでお客様が撤退してしまったため、それからは、偏ることなく顧客を増やそうという方針になり、内国法人、個人事業主も増やしました。その結果、今は外資の比率は3~4割くらいになり安定しました。資産税部門にも力を入れています。現在は私が立ち上げた青山にも支店があります。

営業についてはどのような戦略を取られているのでしょうか。

人前に出て営業をしていくというわけではなく、ホームページからや、お客様の紹介で増やしました。町田のいいところは、ホームページを工夫すると検索順位が上位になり易いところです。ちなみに、青山支店はホームページからは来ないですね。青山では異業種交流会に所属して、そこで信頼関係を築いてご紹介いただいて、というふうに増やして行きました。町田と青山は、営業の戦略が全く異なります。

青山支店立ち上げについて

青山支店を立ち上げられたきっかけを教えてください。

代表と私は血縁ではないのですが、今も2人代表ですし、継いでいこうと思っています。代表と違って、私はゼロからイチにするという経験をしたことがありません。そういった経験がないまま、これから大所帯を引っ張っていけるのか、経営者様とリアルなお話しができるのか、という思いがありました。だからといって独立をするつもりはないので、支店を出すことでゼロイチの経験をしてみようと思ったのが、青山支店立ち上げの理由の一つです。最初はどうやってお客様を増やすんだろうというところから始まって、5年経ちました。23区にいた税理士が町田にくることはあっても、町田から23区に行くことはたぶんありません。激戦区の港区ですが、経営も安定しています。

先ほど、青山支店では交流会に行って営業をされていたとおっしゃっていましたが、その際に意識されていたことは何ですか?

営業は接触頻度が重要となるため、1度会っただけで仕事は来ません。だから定期的に会うような交流会に参加しています。現在私が入っている交流会は、毎週1回開催しています。4年間、1日も休まず週1回参加していますよ。そのおかげで、青山は紹介営業で軌道に乗りました。

他にも、例えば飲食業の方の支援のために、フードショーへ行って名刺交換をしたり、主催者側の方とお話しをしたり、といったことをしています。フードショーでは業務用の機器などを展示することが多いのですが、サービスを売るためのブースはあまりありません。そこで、我々が会計・税務として、交流会の他のメンバーが助成金、補助金、商標登録などの分野で共同出展したら、飲食業の経営者様の目に留まるのではないかと考えています。

また飲食業界ではHACCP(ハサップ)という制度が始まっていて、まだ着手していない経営者様もいらっしゃいます。まず我々がフードショーへ行って、情報収集をして、そこで得た知識をお客様へお伝えしています。

このような営業の結果として、ありがたいことに、売上・利益ともに前年比プラスでした。しかしお客様もこれから苦しくなるかと思うので、どこにキャッシュポイントを持ってくるかを考える必要があります。コンサルに本格的に力を入れていく必要はありますね。

現在はどのようなコンサルをされているのでしょうか。

マインドマップを使っています。1時間の打ち合わせのうち、最初の30分は数字の話をして、残りの30分は社長とPC画面でマインドマップを見ながらブレインストーミングをします。何が必要か、何がやりたいのかといった社長の頭の中にあるものを、言語化して外に出してもらいます。そして、来月の打ち合わせまでに絶対やりたいことを一つ選ぶとしたら何か、という話をして宿題を持ちかえってもらいます。

経営計画を作ってくださいと言っても、社長だけでは作れません。時間もないですし、何となくは思い描けても具体的にどう落とし込むかまで描けません。ですから社長より先に、こちらでも事前にマインドマップを作っておきます。すると、社長は話すだけでいいのでどんどんアイデアがふくらみます。

このようなマインドマップを活用したコンサルティングは、今年で5年目となり、お客様もこの時間を楽しみにしていただいています。それ以外にも、他の士業などと業務提携して、当社がマッチングのお手伝いもしています。

コロナ禍の在宅勤務体制を今後に活かす

コロナによって、お客様との接し方や社内での働き方にはどのような変化がありましたか。

当社は早々に打ち合わせをZoomに切り替えました。もともと青山支店は若いお客様も多いので、クラウドをかなり使っています。それもあってお会いすることなく打ち合わせを行っています。

在宅勤務の導入はスムーズでしたか。

個人の家庭環境による部分もありますが、比較的スムーズだったと思います。私自身でいえば、今までも町田と青山を両方を見ていたので、データは全部クラウドですし、青山は当初からペーパーレスに取り組んでいたのでお客様からのデータもクラウドでいただいています。もともとの環境が在宅勤務に適していたのでスムーズでした。

町田に関しても在宅勤務が必要になったため、対応をするために体制を強化しました。

スキャンスナップでスキャン、Streamedからfreee、MFに連携、データは全てDropBoxで共有をして、仕事の進捗管理はMyKomon。ToDo管理はTrello。1日1回、皆でTrelloを見る時間を設けてタスクの共有をしています。こういったツールを使っているからか、在宅勤務への移行はうまくいきました。現在は書類もipadでチェックしています。

出社の頻度は職員によって異なりますが、基本的に全員在宅勤務ができます。

このように体制を整えたのはコロナがきっかけですが、当事務所も34年やっているので、そろそろ親の介護を考える職員も出てくると思います。もしかすると、私が足を骨折して2週間動けない、ということもあるかもしれません。他にも想定されるさまざまなシチュエーションに対応できるようにする必要があるとは前々から思っていましたが、今回をきっかけに在宅勤務を導入してみて、スムーズにできたのはよかったです。

今後の展望

歴史のある事務所ですと長く勤めていらっしゃる方も多いので、ITに対して抵抗を感じる方もいらっしゃる印象を持っていましたが、IT活用もとても進んでいらっしゃるんですね。

皆デュアルモニターを使っています。私がIT好きなので、クラウドやアプリも率先して取り入れてみて良ければ皆にも広めています。あと、青山支店のホームページにはチャットボットも入っています。チャットボットってどんなものなのかという体感をしてみて、お客様にこういうものですとご紹介をするために入れています。シナリオは私が作っています。

今後は、自動化にもチャレンジしていきたいと思っています。RPAも入れているのですが、どうもシナリオ作成が大変です。20秒早くなる、2分早くなる、というメリットのためにRPAを立ち上げるのも……という難しさがありますね。RPAを上手く取り入れている事務所もありますが、当事務所は20人規模。同じ作業が必要な先が100社ある場合には有効かもしれませんが、そうではない当社の場合、RPAを導入することがメリットに繋がるかどうか探っています。

今後の使い方として想定しているのは、会計ソフトからエクスポートした情報をコンサルティング用のアプリケーションに乗せ換える部分でRPAをかませる、といったやり方です。これなら、RPAを導入するメリットがあるかもしれません。社長用の資料を作るといった業務にも役立ちます。

現在は、どのようにRPAを活用されていますか。

当事務所では、お客様との連絡に使っているチャットワークでRPAを使っています。月初になると「今月の資料を○○日までにお送りください」「20日になりました、給料計算の情報を○○日までにください」「決算月になりました」とか、そういった定型メッセージを自動的に送るようにしています。これを自動化させておけば連絡漏れがありませんし、年一回の連絡もあらかじめ登録しておけます。チャットワーク以外でも、メールも自動的に送れるようにしています。

意識していること、大事にしていること

最後に、日々意識されていることや大切にしていることについて教えてください。

お客様に「そんなのあるんだ、知らなかった」と言っていただきたいと思っています。だから何でも試したいし、有益なものはどんどんお客様に情報を共有していきたい。当社が効率化できるということは、お客様も効率化できるということです。

試してみて、良かったら続ければいいし、ダメだったらやめればいい。こういった試行錯誤を職員が行う事務所は多いと思いますが、従業員だけに新しいことをやらせるのではなく、所長自らやって、本当にいいと思えるものを共有していくようにしないと、上手く取り入れられません。当社はずっと昔から私自身が取組んでいますし、今後もやっていきたいと思います。5年後10年後、どんどん世の中が変わっていく中でも当社は楽しみながら変化に対応していくだろうし、クライアントにも楽しんで挑戦してもらいたいです。

【編集後記】

新しい仕組みを率先して試し、自社やクライアントに生きた声を届けていらっしゃるのですね。事務所の中も見せていただいたのですが、デュアルモニター完備!職員のみなさまとも普段からオープンにコミュニケーションを取られている様子が伺えました。中野先生、ありがとうございました!

税理士法人わかば

●設立

2004年10月

●所在地

本店:東京都町田市森野1-33-11 町田森野ビル1F

青山支店:東京都港区南青山3丁目5−2 南青山第一韮沢ビル 3F

●理念

お客様の幸せ=私たちの幸せ

本気で100年続く企業を創り出す

●企業URL

https://www.wakaba-tax.com/

https://www.wakaba-aoyama.com/

 


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著者: KaikeiZine編集部

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