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譲渡所得の計算上、取得費に加算される相続税額の計算に誤りがあるとされた事例【所得税/一部取消し】元国税審判官が解説 公表裁決から学ぶ税務判断のポイント(第23回)

相続により取得した土地(貸家建付地)に借地権を設定した場合の譲渡所得の計算に際し、取得費に加算される相続税額の計算において、当該土地の相続税評価額(貸家建付地評価額)そのものを「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」とした請求人の計算方法は誤りであり、同貸家建付地評価額に借地権割合を乗じた価額とすべきであるという判断が示されました。

国税不服審判所令和元年7月5日裁決(国税不服審判所HP)

1.事実関係

本件は、審査請求人(請求人)が、相続により取得した貸家建付地に借地権を設定した対価として受領した権利金が分離課税の長期譲渡所得に該当するとした上で、相続財産に係る譲渡所得の課税の特例を適用して申告するに当たり、「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」は当該土地に係る相続税評価額の全額であるとして取得費の加算[1]額を計算したところ、原処分庁が、当該加算額は当該土地に設定された借地権の価額に対応する部分に限られるとして更正処分等を行ったことから、請求人が、原処分の計算には誤りがあるなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。

請求人は平成27年中に相続により貸家建付地(本件土地)を取得し、同年中にQ社との間で同土地を賃貸し借地権(本件借地権)を設定する契約を締結しQ社から権利金を収受したところ、平成27年分の所得税の確定申告に当たり、本件借地権設定契約に係る分離長期譲渡所得の金額(本件譲渡所得金額)の計算上、「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」を、本件土地の相続税評価額(貸家建付地評価額の全額)として計算した。


[1](平成28年改正前)措置法39条1項は、相続又は遺贈による財産の取得をした個人が、相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に相続税の課税価格の計算の基礎に算入された資産を譲渡した場合、所得税法33条《譲渡所得》3項の規定の適用に当たり、同項に規定する取得費には、当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として政令で定める金額を加算した金額とする旨規定している(本件特例)。また、同施行令25条の16第1項は、譲渡をした資産に対応する部分として計算する金額(取得費加算額)は、次のAに掲げる相続税額にBに掲げる割合を乗じて計算した金額とする旨規定している。

A 当該譲渡をした資産の取得の基因となった相続又は遺贈に係る相続税額

B 相続税額に係るAの課税価格のうちに当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額の占める割合(下線筆者)

2.争点

本件譲渡所得金額の取得費加算額の計算上「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」はいくらか(他の争点は省略)

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