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コロナ禍で大注目!「消費税の中間納付」〜個人事業者編〜

コロナ禍で多くの事業者が不安定な経営を強いられる中、消費税の中間納付の捉え方が改めて見直されている。「単なる前納じゃないか」と思っていたら大間違い。向き合い方次第で資金繰りに大きく影響してくるため、いま一度基本を見直しておきたい。

消費税の中間納付とは

消費税の中間納付とは、前年に納付した消費税が48万円を超える場合に、本年の消費税を複数回に分けて納付する制度のこと。消費税を分納することにより、個人事業者の資金負担を軽減するとともに、国側の徴収漏れを防ぐなどの目的がある。

中間納付は、前年の納付額によって回数が決まっており、48万円超400万円以下の場合は1回、400万円超4,800万円以下は3回、4,800万円超は11回。例えば前年に200万円の消費税を納付した個人事業者の場合、当年の中間納付は1回となり、前年の納付額の半額の100万円を中間納付する必要がある。

そして、その後の消費税の確定申告時には、確定した消費税の年税額から中間納付額を差引いて残額を納付。中間納付額が確定消費税額を上回る場合には、差額の還付を受けることができる。

例えば中間納付額100万円のケースで、確定消費税額が150万円の場合、確定申告で納付するのは差額の50万円。確定消費税額が80万円の場合は、差額の20万円の還付が受けられるというわけ。

中間納付1回の場合、納付期限は8月末日。これは中間申告の対象期間の末日が6月30日で、中間申告の期限が「課税期間の末日の翌日から2月以内」と定められているため。そして中間納付が年3回の個人事業主の納付期限は5月末日、8月末日、11月末日。中間納付が年11回の個人事業主の納付期限は5月末日以降1月末日まで毎月末日となり、5月末日のみ3カ月分を納付する。

どっちがお得?「予定納税方式」と「仮決算方式」

コロナ禍の今、この中間納付に改めて関心が寄せられているのは、その算出方法によって経済効果が変わってくるため。消費税の中間納付税額の算出方法には「予定申告方式」と「仮決算方式」の2種類があり、どちらの方法を選択するかは納税者が決めることができる。

「予定申告方式」は前述の通り、前年に納付した消費税額をもとに月割計算で中間納付額を算定する方式。通常、中間申告1回のケースでは前年の消費税額の約半額を納めることになる。納税の時期が近づくと税務署から中間納付額が記載された納付書が送られてくるため、納付額を一から計算する必要もなく手間がかからない。

一方、「仮決算方式」とは、中間申告の各対象期間を一課税期間とみなして実績数値で仮決算を行い、中間申告・納付する方法。予定申告方式と比べると手間はかかるが、①前年の消費税額が大きすぎたケース、②今年の売上げが大きく減少したケース、③今年の仕入れが大きく増加したケース、④今年多額の設備投資をしたケース等では、仮決算方式を選択した方が中間納付額を抑えることができる。なお、仮決算方式で消費税額を計算した結果が還付となる場合でも、中間申告の時点で還付が受けられるわけではないので注意が必要だ。

いずれの方式を選択しても最終的な納付額は変わらないが、どちらを選択するかで資金繰りに大きく影響してくるのでよく考えて選択したい。

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