前回に引き続き、アフリカの会計・税金事情に迫ります!

KaikeiZineをご覧の皆さまアッサラーム・アレイクム!(こんにちは!)旅人会計人の三矢(@hideto328)です。
会計人たるもの、海外でもやっぱり気になるのは税制、税率でしょう。ぼくが現在滞在しているセネガル共和国(République du Sénégal)にはJETROの事務所がなく、日本語で手に入る情報もかなり限られてきます。今回は、ぼくが独自に調べたものと現地で知り合った日本人起業家から教えてもらったことを中心に、セネガルの会計制度まわりについて、ご紹介します。
「アフリカ的」な会計制度とは?

まず、セネガルは西アフリカのOHADA(Organisation pour l’Harmonisation en Afrique du Droit des Affaires)という機関の加盟国です。「OHADA」は会社法、会計法、労働法など、アフリカ加盟国のビジネスに関連する法を調和させていくことを目的とする機関。域外からアフリカへの投資環境を改善することで経済発展に資することがその主な使命であるようです。
OHADAに関しては「OHADA(アフリカ商事法調和化機構)による統一契約法の挑戦と挫折」という論文を読んでみたのですが、西欧化した支配者層と、大半を占める被支配者層の意識の乖離、制度にアフリカ的特徴を組み込もうとして挫折したことなどが書かれていて、印象深いものでした。
特に、アフリカ的特徴を組み込むことで、OHADA本来の目的である外国資本の投資を呼び込むということが困難になるという指摘は、世界的に会計基準を統一していこうという潮流の中で、失われてしまうものが多々あることを想起させ、複雑な感情をいだきます。
そもそも、アフリカに限らず途上国の個人商店みたいなものは「帳簿の『ち』の字も知りません」って感じの店主だらけなので、末端まで行き届かせるのは非常に困難なことでしょう。
なお、現地の人に聞いてみたところ、帳簿をちゃんとつけていないせいなのかなんなのか、個人商店なんかの課税は結構ざっくりと当局の裁量で決まってしまうことも多いそうです。
これぞアフリカ(笑)
セネガルの税制が似ているのはどこの国?
話を戻しますと、OHADA加盟国の大半はフランスの旧植民地。先に紹介した二つのCFAフラン使用国全14か国にギニア、コモロ、コンゴ共和国を加えた17か国が加盟しています(なお、この17か国のうちフランス以外の植民地だった国はギニアビサウ(旧ポルトガル植民地)と赤道ギニア(旧スペイン植民地)だけです)。

そんなわけで、セネガルは通貨ばかりでなく税制も、OHADA加盟国やフランスの旧植民地の国々と、ある程度共通する部分が多いようです。JETROの情報がある国の中では、コートジボワールの税制は共通するところが多いと言われます。
個別の税率で日本と違う点としては、日本の法人税率が40%なのに対して、セネガルでは30%です。この30%という数字は株式会社でも有限会社でも同じです。全ての株式会社と規模の大きな有限責任会社には会計監査役の設置義務があります。
なお、一般人やぼくのような旅行者にとって一番大切なVAT(付加価値税)いわゆる消費税は18%で、食品も酒類も変わりません。こうやってみると日本の消費税ってまだまだ低いんですね。
日本人起業家に、セネガルの会計人について聞いてみた
先述したように、今回のダカール滞在中は、縁あって日本人起業家の方とお話しする機会に恵まれたので、セネガルにおける会計士がどんな存在なのかとざっくり聞いてみました。

するとやっぱりと言うべきか、セネガルにおいても会計士はエリートがなる職業とのこと。会計士の給料まではわかりませんでしたが、週に1回程度のコンサルタントで、安くても月間7万CFAフラン(約1万3千円)程度のフィーがかかるようです。もちろん会計士は何件も掛け持ちしているでしょう。大卒の初任給が月10万CFAフラン(約1万8千円)くらいとを考えると、会計士の給料はセネガルにおいても結構高いだろうことが想像できます。
さて次回は、もっとディープな西アフリカに突入していきます! 西アフリカ滞在中に、会計人に会うことはできるのでしょうか…?
参考:
Paying Taxes in Senegal – Doing Business – World Bank Group
OHADA.com • The business law portal in Africa
OHADA – Wikipedia, the free encyclopedia
あなたはどの法人を選ぶ?(セネガルでの法人の種類と特徴) – ダカールで商売を。