国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2021年分の路線価(1月1日時点)を発表した。全国約32万地点の標準宅地は、全国平均で前年比0.5%下落し、6年ぶりに前年比マイナス。新型コロナウイルス感染拡大の影響が地下も大きく影響した格好だ。国税庁は昨年10月28日、1月から半年間の地価の下落幅を検証していたが、東京、大阪、名古屋の観光地や商業地の6地点で15%を超えたものの、全国平均では、住宅地が0.4%、商業地が1.4%だったということで、2路線価の補正は行わないと発表した。しかし、今年1月26日に大阪市内の繁華街3地点を対象に減額補正(下方修正)していた。

2021年分の路線価は、全国平均で前年比0.5%下落し、6年ぶりに前年比マイナスとなった。新型コロナウイルス感染症拡大によりインバウンド需要が減少したことなどが下落につながった。国税庁では昨年、コロナ禍で大幅に地価が下落した一部の都市の路線価の減額補正をしたが、状況に応じて今年も同様の対応を検討する。

47都道府県のうち価格が上昇したのは7都道府県で、昨年の21都道府県から大幅に減少。上昇したのは、福岡がプラス1.8%、宮城が同1.4%、北海道が同1%などとなっている。

一方、下落は39都府県で昨年の26県から増加。東京都は1.1%下落となり、8年ぶりに前年を下回った。このほか、大阪が8年ぶりに0.9%のマイナス、愛知は9年ぶりに1.1%下落した。

都道府県庁所在地の最高路線価の下落率(前年比)は、奈良市が最大でマイナス12.5%。神戸市同9.7%、大阪市同8.5%、盛岡市同8%、東京都中央区同7%と続き、22都市で下落した。横ばいは17都市。上昇したのは8都市で、上位は仙台市プラス3.8%、千葉市同3.5%、宇都宮市同3.4%の順だった。

全国に524ある税務署別の最高路線価では、下落率が最も大きかったのは、大阪市の繁華街の中央区心斎橋筋2(心斎橋筋)のマイナス26.4%。外国人観光客の多い飛驒高山の岐阜県高山市上三之町(上三之町下三之町線通り)の同12.7%、奈良公園に近い奈良市東向中町(大宮通り)の同12.5%と続いた。上位10地点のうち5地点が大阪府内だった。

東京は浅草寺に近い台東区浅草1(雷門通り)が昨年のプラス33.9%から下落に転じ、マイナス11.9%と最も下落した。東京・銀座の文具店「鳩居堂」前は1平方メートル当たりの価格が4272万円と36年連続で日本一だったが、前年比は同7%だった。