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会社の始まり、そして終わりはどこへ向かうのか―歴史的な出来事に監査を通じて関わった公認会計士のキャリア【株式会社三通 取締役 小林智之氏】

今回ご紹介するのは、公認会計士・小林智之氏。新卒で中央青山監査法人に入所するもカネボウ粉飾決算事件を機に、あずさ監査法人へ。そこで公営から民営化に伴うIPO(新規株式公開)業務に携わるなど国が関わる大きなミッションに監査を通じて従事してきた実力派会計人だ。現在は立ち上げの監査法人にて役員を務めながら電気通信事業会社にて取締役として就任をしている。今回は、カネボウ事件当時の出来事やその後のキャリア、そして今後の展望について話を伺った。(取材・撮影:レックスアドバイザーズ 市川)

“僕は最後までここに残る”-若手会計士が見た現実

大学卒業後、3年間、中央青山監査法人で勤務されました。

小林:当時の中央青山監査法人は、業界の中ではスタイリッシュな雰囲気で、かつ大手企業の監査をしているという印象。しかし、入社から3年後、カネボウ粉飾決算事件をきっかけに、26歳であずさ監査法人へ移ることになります。

当時、私は直接的にカネボウの監査には関与していませんでしたが、中央青山監査法人は業務停止命令を受けて、その結果信頼は失墜し、クライアントも他の大手監査法人(3社)に移りました。しかしクライアントだけが移っても、監査従者者が足りず、その他の3社だけでは仕事を吸収しきれません。ですから担当していた人員とクライアントが共に移りました。そうした中で、一部の会計士やクライアントは、順次、中央青山監査法人から他の3大監査法人に移っていきました。しかし私はあえて中央青山監査法人に残って、その法人がその後どのような行く末になるのかを見届けたいと思いました。

なぜそのようにしたかというと、会社を生み出すという段階では、皆同じ方向を向いていますよね。しかしその逆の場合、会社が終わるときにはどういう終わり方をするのか。そこを知りたいと思ったのです。

中央青山監査法人は、みすず監査法人として新たな名前で再出発したものの、信頼回復には至らず、私を含めた公認会計士も放出して、2007年に解散をしました。その後は、精算法人として存在していましたが、2016年清算も完了して、正式に法人としての幕を閉じました。

私は、その頃すでにあずさ監査法人に転籍しており、その出来事をニュースや新聞で知ったのですが、あの頃は、早々に法人を去っていく人、ギリギリまで組織の中で頑張っている人など様々な人間模様を垣間見ることができたのも、今となってはとても勉強になりました。

26歳であずさ監査法人へ。そちらでは独立まで12年勤務されましたが、こちらでは今に繋がるターニングポイントはありましたか。

小林:民間と会計基準が異なる公的な組織が属するパブリック部門に配属をされていたのですが、当時、とある会社が公社から、民営化するタイミングでした。数年間の間に上場しなければならないというタイムリミットがある中での、特殊なIPO支援及びその会計監査を担当しました。

IPOをする会社の従業員数は多くても数十名から数百名ほどですが、その公社は拠点が2万ほどあり、非正規も合わせれば60万人ほどの職員がいる組織。そういった組織に対して内部統制を整備し、浸透していくことはとても難しいのです。組織はピラミッド構造ではあるものの、どうしても下に行くと統制が薄まります。上(トップダウン)と下(現場)からの双方向からの会計監査を通じて、統制力が薄まらないようにクライアントと接していました。

この時に培われたのは、多くの拠点に対して、短い時間で監査をして内容を取りまとめて問題点・改善策をクライアントに伝えるという力です。年間80日ほど出張して毎年20、30はそういった経験をしました。数を多くこなすうちに、物事の本質は何なのか、お客様(クライアント)が求めているのは何なのかを考える力が付いたように思います。

この会社のあとに他のパブリックにも携わり、年間かなりの数をこなしました。そういった点ではかなり特殊な会計士かもしれませんね。

ご縁を大切に。常勤監査役就任のきっかけ

その後、38歳で独立。直近では電気通信事業会社での常勤監査役に就任されています。

小林:大規模な上場会社、パブリックの監査、アドバイザリーを経験して、40歳目前。そこで、40代、50代のキャリアについて考えてみたのですが、公認会計士として監査以外にも力をつけたいと思ったのと、また、当時はオリンピックの前でオリンピックが終わったら様々な業種における需要が落ち込むかもしれないというアドバイスも貰いました。その前に独立した方がお客様も抱えられて、オリンピック後の対応もできる。そういうタイミングも見て、2019年7月に独立をしました。それと同時に、小規模監査法人でパートナーにならないかという話もいただきました。あずさ監査法人のときに一緒に仕事をしていたメンバーが創業者だった縁です。

また、電気通信事業会社である株式会社三通(東京都・豊島区)にて2019年11月から監査役の仕事をしています。出身校である日本大学の会計士・税理士のコミュニティに属していて、その交流会で他の士業、弁護士、税理士、司法書士といった方と懇親を深める会があり、弁護士の先生と繋がりを持ちました。その方が三通の監査役に就任されていて、ちょうど常勤の監査役を探されていました。これもご縁とお話をお受けする運びとなりました。

この記事を読まれている方で独立をする際にどのようなことをすればいいのか悩まれている公認会計士や税理士の方もいるかと思いますが、私の場合、独立前にある程度準備をしました。自分自身に事業計画というわけではないですが、ある一定程度の報酬を確保する道筋は付けていました。

監査法人にいる間に、「独立します」といろいろな人に相談しにいきました。その中で「ここに話を聞いてみれば」とお客様を紹介していただいたり、コンサルティング会社を紹介していただいたり。すでに独立していたメンバーから仕事を紹介してもらったこともあります。

様々な場所に、積極的に参加していました。勉強会や、講師をやらないかといった声が掛かれば、自ら進んで行きました。そういった断らない精神が、新しい仕事に繋がったのでしょうね。縁を途切れさせないよう意識しています。

IPOを目指して。小林氏の今後の展望とは

今後の展望を教えて下さい。

小林:有難いことに、この度株式会社三通の管理担当の取締役に就任することになりました。上場に向けて会社のガバナンス体制の整備、内部統制の整備を担いつつ、予算管理、決算体制の整備を所管しています。いわゆるIR、開示ですね。その部分の仕組みを作っていくのが上場までの当面の目標です。

上場準備会社はたいていオーナー会社ですが、社長のトップダウンでは良い内部統制と言えません。皆で確認をして、意思決定して、取締役会を開いて承認する。これがガバナンスというものです。そういった機能が上場にあたって大事になります。

また、2025年に固定電話が廃止されてIP電話に切り替わります。電話は公的な書類(例えば住民票等)を出す必要がありますが、インターネット通信アプリ(FacebookやLINE等)はそういった条件が緩いですよね。ですから、今後、信頼が置ける通信網として、IP電話を使用したビジネスモデルに変革が起こるものと予測しています。株式会社三通ではそこに向けて開発を進めていて、あとは三通の一番の課題である知名度を2025年までに上げていきたい。そのために上場することが必要ですね。通信事業という公的な規制がある中で上場していこうとする点では、パブリックでの経験とも通じるところがあります。あのときに培った経験を活かして、目標へ進んでいきたいと思っています。

 

【編集後記】
お話をお伺いする中で、公的な出来事に対峙されているのが印象的でした。これからは、今までのご経験を活かして、IPO支援をされていくのですね!小林先生、有難うございました!

株式会社三通

●創業

1999年2月9日

●所在地

東京都豊島区南大塚2-37-5 MSB-21 南大塚ビル10F

●理念

人々のコミュニケーションをもっと自由に

企業URL

https://www.sanntsu.com/

 


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著者: KaikeiZine編集部

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