令和3年7月21日、総務省は、嚴島神社で有名な宮島(広島県廿日市市)を訪れる観光客などに課税する「宮島訪問税」の創設に同意すると発表しました(同日付け日本経済新聞デジタル版「総務省『宮島訪問税』創設に同意 23年度に徴収開始」)。観光客に課する法定外目的税としては、例えば京都市や金沢市の宿泊税などが有名ですが、今回はそうした観光に関する税に目を向けてみましょう。

観光と税

報道によると、この宮島訪問税は、住民や通勤・通学者、修学旅行生などを除き、1人につき100円を廿日市市が徴収するというものだそうです。同市は、フェリー代金に上乗せする形で訪問税を課す方針で、改札機や券売機などの設置を今後本格的に進め、令和5年度中の徴収開始を目指すといいます。

この報道をみて、富士山入山税を想起した方も多いでしょう。

現在、富士山の入山料は、5合目より先に立ち入る登山者を対象に、1人1千円を登山道入り口で集めていますが、あくまでも任意であることから登山者の70%未満の支払に留まっており(静岡県側)、その不公平さが指摘されてきました。そこで、静岡県と山梨県が、法定外目的税として、全員徴収の富士山入山税を設けようとしています。

富士山の5合目から上に立ち入る登山者に対し、事前予約のほか、登山届の提出、自然保護に関するレクチャーの受講などを入域の条件として設定した上で、入域手続きの実施団体が、5合目に設置する受付窓口などで手数料に上乗せして税を徴収する「特別徴収」の形が採られる模様です。早ければ令和4年夏から導入されることとされています。

この富士山入山税も、富士山の入山者のマナー向上講座開設費用や環境整備費用等に充てるために設けられる目的税であるという意味では、上記の宮島訪問税に類似したものといえそうです。