7月22日に東京オリンピック2020の開会式が開催されたが、日本人選手の感動的なメダルラッシュが続いている。東京オリンピックは、33競技が実施されるが、今回はどれだけのメダルを手にするのか注目だ。さて、メダリストには報奨金が用意されているが、この報奨金の税金問題はどうなるのであろうか。

2016年のリオオリンピックでは、金メダル12、銀メダル8、銅21だった。今回は、リオオリンピック以上のメダルラッシュとなりそうだが、メダリストには、報奨金が用意されているのをご存じだろうか。

オリンピックの報奨金は現在、金メダルが500万円、銀メダルが200万円、銅メダルが100万円となっている。

一方、パラリンピックは金メダルが300万円、銀メダルが200万円、銅メダルが100万円だ。

オリンピックの金メダル報奨金は2016年リオ大会から500万円に引き上げられ、それ以前は300万円だった。

オリンピックとパラリンピックで、金メダルの報奨金額が異なるのは、支給する団体が違うという事情がある。オリンピックの報酬金は、日本オリンピック委員会(JOC)、パラリンピックは日本障がい者スポーツ協会(JPSA)が支給する。報奨金額は、それぞれの財政状況で決めているらしい。ちなみに、米国は、平昌大会後2018年からオリンピックとパラリンピックのメダリストの報奨金を同額にしている。改定後、オリパラ両大会の金メダリストには3万7500ドル(約420万円)、銀メダリストには2万2500ドル(約250万円)、銅メダリストには1万5000ドル(約170万円)が支払われている。

前述した団体からの報奨金以外にも、各競技団体他、人によってはスポンサーから支払われることがある。金額はまちまちで30万円~数千万円と幅広い。

さて、この報奨金だが、実はJOC、JPSAから支払われる報奨金については非課税となっている。

一般的に報奨金は所得税法上「一時所得」に分類され課税対象となるが、JOC及びJPSAから贈られる報奨金に関しては、所得税法9条1項第14項に「オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年8月7日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和40年5月24日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であって政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの」については、所得税を課さないとされている。ただし、非課税の報奨金額には上限があり、これを超えると課税対象となり、一時所得として確定申告する必要が出てくる。このほか、競技団体が支払う報奨金など、一定の競技団体からの報奨金も非課税となっている。

オリンピックの金メダリストの非課税上限額は令和2年度税制改正で500万円に引き上げられた。一方、パラリンピックのメダリストへ支払われる加盟団体からの報奨金は、従来非課税枠がなかったが、同税制改正により、現在はオリンピックメダリストと同等の非課税枠が設定されている。