新型コロナウイルス感染症が拡大した当初から、しばしば「アマビエ」なるものを見かける機会が増えるようになりました。これは1846年(弘化3年)に肥後国(現在の熊本県)で発見されたという妖怪が元になっています。疫病に関する予言をしたとの言い伝えから、「疫病除けの妖怪」として注目を浴び、新型コロナの収束を願い、全国各地の神社等でアマビエのお守りが販売されています。さて、今日はアマビエのお守りと課税について考えてみましょう。

アマビエのお守りや絵馬

さて、この話は妖怪の話であって、少なくとも神様や仏様の話ではありません。もっとも、あくまでも謎めいた妖怪の話にすぎなくとも、そこに何か霊的なものを見出して、人々が信仰の対象としているということ自体は否定されるべきものではないでしょう。

日本では、古来よりアニミズム(生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているとする考え方)を信仰し、八百万(よろず)の神として、何に対しても神様的存在を発見し、それを祀ったり崇めたりするという習慣が根付いていることから、アマビエ信仰も何ら不思議なものではありません。

さて、そうした中で、日本中の多くの寺社で「アマビエお守り」や「アマビエ絵馬」なるものが売られているようですが、果たしてこれらはいかなる神学的な意味を持つのでしょうか。筆者は神学については通じていないのでこの点についての言及は避けたいと思いますが、古くから、その寺社でアマビエが信仰されてきたのでしょうか。これは全くの邪推ではありますが、新型コロナが流行した2020年(令和2年)から「アマビエお守り」や「アマビエ絵馬」の販売を始めた寺社も少なくないように思われます。

例えば、日枝神社(東京千代田区)では、「アマビエ絵馬」が頒布されているそうですが(https://akasaka.keizai.biz/headline/3307/)、日枝神社とアマビエに何か神学的な関係があるのでしょうか。少し調べてみると、アマビエのお守りや絵馬を売っている寺社のほか、御朱印にアマビエを書き加える寺社や、中にはアマビエをモチーフにした公式キャラクターを作っている寺社などがあるようです。

それらを否定しているわけでは決してありませんが、果たしてそのお守りといったものは一般のお土産屋さんで売っている「アマビエお守り」と何が違うのでしょうか。アマビエのお守りは、お土産屋さんどころか、いまやAmazonや楽天でも購入できるのですが、ここではイコールフッティング論の適用が想起されるのです。