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辛い不妊治療の日々。支えてくれたのは頼ってくれるお客様【税理士法人横浜総合事務所 代表 山本歩美氏】

今回話を伺ったのは税理士法人横浜総合事務所の代表を務める税理士 山本歩美氏。辛い不妊治療を乗り越えた過去もあるがそんな時に支えてくれたのが税理士資格だったと語る。また過去にはTACのFP講座の講師を務めた経験など、多岐にわたり活躍している女性会計人の一人だ。女性として、事務所の代表としてこれまで歩んできた道のりに迫る。(取材:KaikeiZine編集部)

バブル崩壊直後の就職活動。女性は手に職を

会計業界を目指されたきっかけについて教えてください。

山本:私の父は寿司屋の親方で、昔気質の構えた雰囲気の人でした。しかしその父が、税理士が来ると小さくなって教えを乞うのです。もちろん父も修行の過程で頭を下げていた時期もあると思いますが、私が物心つく頃には親方として職人を抱える立場。だから、どんな仕事なのか分からないけれど、あの厳しい父が教えを乞う「税理士さん」ってすごい人なんだ・・・と思ったのがきっかけです。そこから、誰かに必要とされる存在になりたい、頼られたいと思い、税理士という職業がどういうものかを調べ始めました。

ちょうど私が大学を卒業する頃はバブル崩壊直後。女性は手に職をつけないと就職できないと周りからも言われていましたし、私自身も資格がなければ就職できないという恐怖感もありました。ゼミでは周りに税理士や公認会計士を目指して勉強している人も多い環境だったので、税理士を目指したのは自然な流れでしたね。

勉強開始から取得まではどのくらいかかりましたか。

山本:4年です。今は仕事や学校へ行きながら資格を取得する人も多いと思いますが、私の場合は受験資格がもらえる大学3年生の年の税理士試験に向けて、大学1年生のときにダブルスクールの学費を貯めて大学2年生の夏から勉強を始めました。両親もとても応援してくれていましたね。親からは「本当にやりたいのか。」とだけ聞かれました。私が頑張ると言ったら、何も言わずに応援してくれて。これには今でも感謝しています。1年目は簿記論・財務諸表論に合格しましたが、2年目に法人税と消費税のどちらも不合格だったときには、心が折れそうになりました。しかし就職した先輩の話を聞くと、平日昼間は仕事をして帰宅後に勉強、土日も勉強。学生である私が負けていられない。そうやって同じ目標に向かって頑張る仲間が周囲にいたことは大きな力になりました。卒業後は会計事務所でアルバイトをしながら勉強して、翌年に法人税・消費税、その次の年に相続税に合格しました。

1998年から現在の会計事務所に在籍されています。入所されたきっかけは何でしたか。

山本:自宅から乗り換えなしで30分以内に着くところを探した結果です(笑)。そして、女性も担当を持てることもポイントでした。今の会計事務所に入る前に別の会計事務所でアルバイトをしていましたが、女性は内勤しかさせないという方針でした。ですので就職するときには、そういった男女差のない会計事務所を探していたのです。当時は私が11人目の職員という規模でしたが、入所してから“女性だから上手くいかなかった”という経験はありませんね。

当時20代前半。“同年代の社長さん”との出会い

アルバイトとして会計事務所で働かれていたとはいえ、資格取得後すぐに入所されて、大変だったことはありましたか。

山本:夏に入所後、年内は内勤だったので先輩方の担当案件の入力をしていたときは、いつでも聞ける先輩がいたし、教えてもらう立場でした。しかし年が明けたら、すぐに自分の担当をもらったのです。23歳で年配の社長さんと話すのは本当に緊張しました。今は新しく入った方には内勤を2年くらい担当してもらうので、申告や年末調整を一通り経験できます。しかし私が23歳の頃は、確定申告をするにもお客様からどの資料を預かっていいのか分からない。相手の会社に入る前から何を話そうかと考えて、天気の話までシミュレーションしていました(笑)。

入所当初は経験がないので勉強で知識を付けていくしかなくて、FPの勉強をしました。FPは、税理士と比べると勉強内容に人の人生に寄り添う分野が多いのです。社長さんとの話は、経営の話だけではありません。息子をどこの高校に入れて・・・、家を買おうと思うんだけど・・・といった、プライベートな話まで伺います。もっと自分も年齢を重ねれば、自分の経験で話せることも増えていくと思いますが、当時は社長が言っていることが分からず、毎回大汗をかいて帰ってくるくらいでした(笑)。

そうした会話から関係を築きつつ、その担当した会社の決算まで終えたら、やっとその会社のことが理解できました。社長との距離も少し縮まったように感じて、仕事も楽しくなっていきましたね。

がむしゃらに取り組んで1、2年経った頃、私と同年齢くらいの社長さんが独立するから担当してみないかと言われました。その社長からは新店舗を出したいけれど融資が受けられないと相談され、今まで税務申告しかしたことないのに、一緒に銀行回りをしたのです。そうしてお金を借りられて、無事にお店を出せたときには「私が人の役に立つことができた!」と思えてとても嬉しかったです。私の旧姓は磯田なのですが、一緒に銀行を回っているときには「磯田さん」と呼ばれていました。しかしお店のオープニングセレモニーでは「このお店を作るときにお世話になった磯田先生です!」と家族の方に紹介してくださって・・・。別に「先生」と呼ばれたいわけではありませんが、その「先生」という言葉ひとつにどれほどの信頼やねぎらいの気持ちが入っているのかと思うと嬉しくて泣けました。入所される若い方たちにも、ぜひこういう経験をしてほしいと思っています。

辛かった不妊治療。支えてくれた税理士という資格

法人化される際に役員に就任されていますね。

山本:もともと入所して5年くらい経った時に、代表の泉から一緒にやろうと言われたのですが、当時まだ20代で結婚もしていないし、将来的にどういう働き方がいいのか分からない。だから、一緒にやろうと言われても聞こえないふりをしていました(笑)。でもそうやって声をかけてもらったことがうれしかったし、いつかはその声に応えたいと思っていました。

その後結婚をし、しかし子どもは授からなくて、それならこれから仕事とどう向き合っていくのかを考え「ずっと続けていくなら、この事務所と一緒に責任を持って仕事をしよう。」と覚悟を決めて、泉に一緒にやりますと伝えました。秋に伝えて、翌年の1月に法人化しました。

私は不妊治療をして子どもを諦めた経験があるのですが、不妊治療をしていた当時は、誰に言われるわけでもないのに、病院に行くたびにダメなやつだと言われているように感じていました。病院に行くにも何月何日何時と指定されるので、そのために仕事を調整するのも大変。ホルモン剤を飲んでいましたが、朝起きるとずっと吐き気がするのです。それでも仕事を続けられたのは、仕事やお客様が当時の私を支えてくれていたから。病院に行って自分はダメなやつだと思っても、仕事をしていると頼られている、やりがいがあると実感できたから乗り越えられました。

法人化した当時は、まだ所員も30人いないくらいで、新卒採用をしていませんでした。法人化してからはお客様と一緒に成長していこうとしている新卒の若い方も採用しています。理念は私が入所した時からずっと変わっていません。法人化するときに私が後継に指名されましたが、“お客様のビジョンの実現をサポートする”この理念だけは変えないでくれと言われています。

事務所の特徴はどのような点ですか。

山本:なにより所員全体が若いこと。特に最近は積極的に所員からアイデアが出てきています。より現場にいるメンバーの声が出てくるようになったのは、この事務所の好きなところですね。何かきっかけがあったわけではないのですが、お客様のサポートをすることが嬉しいと感じる人の集団としてまとまってきて、全体的にそういう考えが浸透してきたからなのではないかと思っています。

代表社員としては、とりあえずやってみようかというスタンスでいます。周りも後押ししてくれますし。そして所員も「これをやってみたい」という意見がたくさん出ます。そのままでは難しそうなときは、こうやったらできるかもしれないとアドバイスをしながら進めます。なるべく意見を潰さないように、心がけていますね。

100年続く企業を目指す

今後のビジョンについて教えてください。

山本:中期計画では、現在50人規模のところを75人くらいにしていきたいと思っています。さらにきめ細かいサービスを提供するために、会社の段階ごとに担当者を分けていきたいとも思っています。

泉が創業したときに同じく創業期にあったお客様が、やはり同じように事業承継の時期になってきています。私も今後誰かに事業承継すると思いますが、そのときにも社長さんたちと一緒に走っていける別の誰かにお願いすることになります。日本には100年企業は少ないですが、そういう長く続く会社のサポートをしていきたい。そして当社も100年企業になっていきたいと思っています。

KaikeiZineの読者にメッセージをお願いします。

山本:会計人って、素敵な職業だなと思っています。数字が読める、分かるのは大きな力です。世の中に挑戦していこうとしている社長を、自分の持っている力で応援することができるのですから。やりがいがあって、楽しい仕事だと思います。

勉強中の方は、この勉強が将来役に立つのかとめげそうになることもあるかもしれませんが、続けていけば間違いなく自分の力になります。それが社長を応援する力になりますから、ぜひ勉強を続けてほしいと思っています。

 

【編集後記】

日本酒のソムリエと言われる利き酒師の資格もお持ちの山本先生。過去には弊社とコラボの日本酒イベントも開催したこともあります。落ち着いたらまた開催したいと話が出ているのでぜひご一緒できたらと思います!山本先生、ありがとうございました!

税理士法人横浜総合事務所

●創業
平成1年6月 泉敬介税理士事務所として開業

●所在地

横浜市中区山下町209 帝蚕関内ビル10F

●理念

お客様のビジョン実現と真の豊かさの創出をサポートし、

社員の自己実現と社会貢献を目指す。

●企業URL

http://www.yoko-so.co.jp/

 


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著者: KaikeiZine編集部

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