開業医の多くは、開業の当初から税理士や会計士に多くの相談をしていることだろう。開業医コンサルなども近年増加傾向にあるため、知恵を借りながらうまくクリニックを運営していこうという方も多いはずだ。なかでも、節税に関しては毎年のように頭を悩ませているのではないだろうか? 税理士、会計士に任せきりという方も、今一度、節税のポイントを理解しておこう。

クリニックの経費とは?

医院にはさまざまな業態(内科、歯科、皮膚科、眼科あど)があるが、ここでは総称としてクリニックという言葉を使用する。

クリニックの経費とは、大きく以下があげられる。
(1)薬剤費
(2)人件費
(3)設備管理費
(4)水光熱費
(5)交際費

(1)~(3)に関しては、経費として大きくなるものの、削減することは現実問題として難しいかもしれない。最近話題の電力自由化もあるが、(4)に関しては電気代の見直しから経費削減がまだ可能だと思われる。経費自体を大きく削減することも大事だが、経費管理をうまく行い、いかに節税するかもクリニック経営の肝になってくる。

節税のためのポイント

ポイント1. 交際費の管理
交際費とは、接待や慰安を目的に使った経費のことだ。個人的に食事するのではなく、地域医療の現状の情報収集のために行われる、近隣のクリニックの先生や大学病院の先生との食事会などは経費として申請することが可能だ。

また、従業員の慰労を目的とした飲食に関しても経費となる。他にも、従業員向けの勉強会を実施したときに、外部から講師を呼んだ際の謝礼金も交際費に含まれる。

クリニックとして出すお中元やお歳暮、学会などへ参加する際の、主催者へのお土産なども大きい金額ではないが、「ちりも積もれば」という意識でしっかり見直すべきポイントだ。
交際費に関しては、自分だけでなく事務スタッフとも確認し、主観的にならないように心がけが必要だ。

ポイント2. 事業経費の理解
開業医の方たちは日々の診療業務のほか、地域医師会の勉強会や、関連学会などへの参加も多いだろう。個人的な付き合いで遊びに行くというよりは、自身の勉強やクリニックとの関係性を保つための参加が多く、特に開業したてのときは人脈構築のために必要になることもあり得る。

「クリニックのため」という観点で発生するものは経費として管理する。遠方の学会に参加する際に発生する交通費、宿泊費、それに伴う飲食代も経費として取り扱うことが可能だ。

さらには、休診日に自宅でインターネット等を使い、外部のドクターと意見の交換を行うためのPCなども経費となる。私用でなく、自身のスキルアップがクリニックのためになるからだ。

正しい経費意識を持とう

節税のため、無理に経費に算入させるという考えで節税対策を行うのは、発想として間違っている。経費を正しく理解し、適した形で処理することで経費漏れをなくす事が、結果として節税できるという考えを持つべきだ。