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国税の滞納残高が29年振りに1兆円下回る 新規滞納額は6871億円

国税の滞納整理中の総額が29年振りに1兆円を割った。国税庁によると、平成27年度租税滞納整理中のものの額は9774 億円となり、同26 年度より872 億円減少した。納期限前後の納付指導といった滞納未然防止策や法的措置の積極適用などが実を結んだ格好だが、一方で新規滞納額は増加している。

今年3月までの1年間に、国税が納期限までに納付されず、督促状が発付され滞納となった新規滞納額は、国税当局による期限内納付に関する広報周知活動や納期限前後に電話や税務署での納付指導の実施など滞納の未然防止が図られたものの、前年度より958億円増えて6871億円と3年連続増加した。過去最高だった平成4年度の1兆8903億円と比べれば3分1程度だが、アベノミクスによる景気回復の波が社会全体には行き届いていない状況も見え隠れする。

税目別でみると、最も多いのは消費税の4396億円(対前年比33.4%増)で6割以上を占めおり、次いで申告所得税1170億円(同3.7%増)、法人税634億円(同5.9%減)、源泉所得税382億円(同7.4%減)、相続税269億円(同25.7%減)、その他税目20億円(同52%減)となっている。

出所:国税庁

消費税は、そもそも“預かり金的性格”を有しているものの、資金繰りに困った企業が消費税を事業等へ使ってしまったものと考えられる。また、平成25年度滞納額2814億円と比べると1.56倍となっていることから、同26年4月の税率8%への引き上げも影響しているようだ。

なお、当局では消費税率8%への引上げによる新規滞納の発生への対応として、平成27年に新ポスト「納税催告専門官」を関東信越国税局や大阪国税局などの徴収部の集中電話催告センター室(納税コールセンター)に設置して対応に当たらせている。
新規発生滞納額を申告等により課税されたものの徴収決定済額(27年度は58兆1523億円)で除した「滞納発生割合」 は1.18%で、平成16年度以降12年連続で2%を大きく下回って、国税庁発足以来、最も低い割合であった前年度(1.1%)とほぼ同水準となっており、国税当局の滞納防止策の効果は出ている。

新規滞納者には電話催告で早期処理

一方、滞納国税について当局は、適正・公平な課税の観点からも、早期処理、大口・悪質事案や処理困難事案に対する厳正・的確な滞納整理を行うとともに、ここ数年来、滞納額でも多くを占める消費税滞納事案の重点的な処理を実施するなどしているが、27年度は前年度より1063億円も大幅増加となる7744億円の滞納を処理している。

具体的な施策では、まず新規滞納者に対しては、納税コールセンターからの電話催告。納税コールセンターは、国税総合管理(KSK)システムから送られてくる滞納者情報データを基に自動的に機械が電話を掛け、滞納者が応答した時点で職員のパソコンにその滞納者の滞納税額等の情報が表示される「集中電話催告システム」を使って納付催告を行うもので、100万円未満の新規少額滞納事案や消費税事案を処理する。平成14年から順次全国で新設され、16年から全国税局(所)で稼働している。同年度も新規滞納者の82.5万者に対して納税催告を実施し、このうち58.8万者が滞納税額を完納し、11.3万者が分割納付など納付計画等を決める納付誓約に至っている。

また、滞納者に対しては、動産・不動産の差し押さえが行われるが、その財産が売却され換金できてはじめて国庫に税金が収納されるため、この差押財産の公売にも力を入れている。中でも、平成19年から「ヤフー」や「楽天」のインターネットサイトを利用して広く公売者を募り売却する「インターネット公売」(年間4回開催)は高級国産・外車やクルーザー、リゾート会員権から、アイドル関連商品、オタクといわれる人たちが好みそうな物まで出品されることから好評を得ており、成果も上がっている。27年度も売却総額は前年度より2億円多い5.3億円に達している。

さらに、平成27年事務年度からは、小規模な税務署の滞納整理事務について近隣の(中心)税務署への集中化を一部税務署で試行し、整理の促進に向けた新たな施策も始められている。

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