簿記の知識がなくても簡単に始められることから、中小・零細企業から選ばれているクラウド会計ソフトのfreeeだが、付加価値サービスを拡大し、顧客満足度を高めたい会計事務所からも注目を集めている。なんと、freeeの認定アドバイザーとして登録する会計事務所は、2年半で3,000事務所にも増加。なぜ、ここまで会計事務所がfreeeに注目しているのかに迫った。
freee株式会社(東京・品川区、代表取締役=佐々木大輔氏、以下 freee)が提供するクラウド会計ソフトは、プロダクトリリースしてからわずか3年で、約60万事業所に活用されているという。クラウド会計ソフトの業界ではシェアナンバー1の地位を築いており、この数年、会計事務所もfreeeに熱い視線を注いでいる。
企業にとって、クラウド会計ソフトの魅力は、インターネット環境が整っていれば、バージョンアップなどの手間もなく安価に導入でき、何より業務の延長線上で効率よく会計帳簿が作成できる点。特にfreeeは「企業側からのユーザー目線で作られている」との意見が多い。freeeマーケティングチームの木本俊光氏(以下、木本氏)は、「簿記の知識のない人でも簡単に使えるように工夫している。また、銀行口座やクレジットカードの明細の自動取り込み、特許を取得した自動仕訳、請求書と帳簿が自動で紐づくシステムなどを活用してバックオフィス業務全体を効率化することができるので、個人事業主のみならず中小企業にとっても業務効率化ツールとして高い評価をいただいている」と言う。
最近では、会計事務所向けの機能も拡充し、権限管理や仮締め機能など、顧問業務管理に役立つ機能も急速に拡充している。先のプレスリリースでは記帳代行を高速化する革新的な機能も発表された。会計事務所向けの機能拡充に力を入れている理由は「会計事務所が効率良く顧問業務ができることは、顧問先の企業や個人事業主にとっても非常に価値が高いからだ」(木本氏)と語る。
1年間で認定アドバイザーが2倍に
こうした企業側の評判や機能の拡充もあり、会計事務所側でもクラウド会計ソフトへの関心が高まってきているが、freeeでは会計事務所向け機能のアップデートだけでなく「freee認定アドバイザープログラム」を設け、会計事務所と二人三脚で顧問先の成長支援を目指す。特に最近では、会計事務所向け部署であるパートナー事業部の人員も増やし、その姿勢をさらに強めている。同支援制度ができたのが2年半前、認定アドバイザーは現在3,000事務所になったが、「この1年間だけで2倍に急増した」(木本氏)というのだ。
freee認定アドバイザー数の推移
短期間に多くの会計事務所から支持を得ているのは、どうやら「会計事務所と二人三脚の支援」という姿勢がポイントになっているようだ。認定アドバイザーは、顧問先のfreeeの導入から活用支援、さらにはリアルタイムな情報をもとにした税務や経営への助言、企業の成長までをバックアップする。会計事務所にとっても、freeeを導入することで顧問先の自計化もしくは事務所内の業務効率化が促進される。
また、freeeを活用することで顧問先のバックオフィスに関する情報をリアルタイムに共有できるようになるため、より顧問先の経営に貢献する付加価値業務への移行の足がかりとなる。つまり、いまの多くの経営者が求める「早い意思決定」をサポートできる。多くの会計事務所の経営課題である顧客満足度の向上が図れるツールなのだ。
freeeは、会計事務所をビジネスパートナーだと考えており、認定アドバイザーには製品以外にも各種特典を無償で提供していることも会計事務所が注目する点だ。「従来のベンダーからすると会計事務所にソフトを売って終わりかもしれないが、会計事務所の立場ではソフトを買って終わりというわけではない。会計ソフトを購入した後、自分の事務所でそのソフトを理解し、顧問先に導入・運用するところまでやって初めて製品のメリットを実感できる。弊社は製品を利用いただければ理解していただけるという自信があるのはもちろん、パートナーというからにはそこまで並走する存在でいたい」(木本氏)。
アドバイザーになれば、通常のクラウド会計ソフト、給与システム、ERP機能だけでなく、アドバイザー専用の機能も使うことができる。「会計事務所の目線で、顧問先への効果的な使い方、サービス向上を研究してもらいたいと考えて いる。弊社のビジョンに共感してくださる会計事務所に向けて、さまざまな研修も無償で提供している」(木本氏)。