1年間、給料や賞与から天引きしてきた所得税を精算し、還付や徴収を行う「年末調整」。多くの人はこれで完結しますが、中にはそうでない人もいます。どんな人でしょうか。確定申告との関係も含め、ここで一度確認しましょう。

■そもそも年末調整をしない会社員もいる

「会社で働いている人なら誰でも年末調整をする」と思われがちですが、実はそうではありません。年末調整の対象とならない人もいます。

  • ●年末調整のしない人

最初から年末調整をしない給与所得者は、主に次のような人です。

  • 1.年間の給与年収が2千万円を超える人
  • 2.年の途中で退職した人
  • 3.災害減免法の規定により、源泉徴収の納税の猶予や還付を受けている人
  • 4.2か所以上から給与所得を受け取り、他の勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人(乙欄に該当する人)
  • 5.非居住者
  • 6.一部の日雇い労働者

●年末調整をしないなら確定申告が必要

上記の人は、年末調整の対象にはなりません。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が年末調整の大前提ですが、このような人たちは、この申告書を提出しても、年末調整の対象とはならないのです。

では、彼らはどうしたらいいのでしょうか。会社から「給与所得の源泉徴収票」をもらい、それぞれが年明けに所得税の確定申告をしなくてはなりません。

●「年の途中の退職」でも年末調整することも

2は少し注意が必要です。「年の途中で退職した人」とありますが、これは年内に日本国内で転職する可能性のある人を指します。転職先で転職前の会社からもらった給与と併せて年末調整をしてもらえばいいからです。

しかし、年の途中で退職した理由が「年内の再就職があり得ない」ものならば、退職時点で年末調整を行います。たとえば、次のようなケースです。

  • ・死亡で退職した
  • ・心身の障害で退職し、年内の再就職が見込めない
  • ・12月中に給与所得をもらい、そのまま退職した
  • ・パート・バイトで働いていたけれど退職し、給与年収が103万円未満だった

この他、海外転勤により年の途中で非居住者となる人も退職時点で年末調整を行います。非居住者とは「国内に1年以上、住所も居所もない人」のことです。

ただし、パート・バイトについては少し注意が必要です。退職後も他の勤務先から給与所得を受け取るのであれば、退職時点での年末調整はいりません。