税理士として独立開業をする際に必要になる“会計ソフト”。最近では各社様々なサービスを展開していますが、一体どのサービスを使えば良いのか悩まれる方も多いのではないでしょうか。弊所・アンパサンド税理士法人では、金融機関やEコマースなど多岐にわたる連携サービス、会計ソフト以外の請求管理や給与計算のソフト等、同一金額の中で使えるサービスアプリの多さなどからマネーフォワード クラウドを使用しています。今回は、マネーフォワード クラウドの魅力、そして独立開業をした税理士が成功するために必要になる “心構え”についてお伝え致します。(記事執筆:アンパサンド税理士法人 税理士 山田典正/撮影:レックスアドバイザーズ 市川)

2022年版-会計ソフトとは?簿記・経理初心者におすすめの種類

マネーフォワード クラウドを選んだ理由

税理士として独立をする。自分の事務所を構える。というのは有資格者の方であれば目標としている方も多いのではないでしょうか。

会計事務所を開業する際に、物件選定や顧問料の設計、HPや名刺の作成、PCやプリンター選定など決めなければいけないことがたくさんかありますが、その一つに挙げられるのが記帳代行業務で使用する会計ソフトだと思います。

私自身、7年ほど都内にある税理士法人に従事した後、2015年1月に独立をしましたが、この頃はクラウド会計が流行りはじめた初期の頃で、従来のアナログ型の会計ソフトだけでなくクラウド型も利用しようと思い何社か検討していました。結果、クラウド型の会計ソフトは、マネーフォワード クラウドをメインで利用することに決めました。

マネーフォワード クラウドを利用する決め手となった理由の一つは、これまで個人的に使っていた「会計簿サービス」。

これが大変秀逸なソフトで非常に使いやすいものでしたので、サービスへの高い期待感から選びました。

もう一つは、代表の辻さんが金融機関出身の方であり、株主にも金融機関が複数入っていたこと。会計事務所の業務は、お客様の大切な機密情報を扱う仕事。データが消えてしまわないか、情報の流失は大丈夫か、など様々な心配があります。その点、金融系のバックグラウンドがある企業ということで安心感にも繋がりました。

では、実際に使ってみてどのような点が良かったのか、大きく3つに分けて挙げていきたいと思います。

(1) 銀行やクレジットカード、Eコマース等API連携できるものが多い

そもそもクラウド会計とは、使用しているパソコンにソフトウェアをインストールしなくてもインターネットに繋げることでいつでも・どこでも使用できる会計ソフトのことを一般的に言います。

会計事務所において顧問先の経理業務をしている中で課題に挙げられるのは、入力の手間・転記によるミスなど人が行う作業によってかかる時間コストや間違いの発生。

もう一つは、顧問先から請求書など欲しい資料や情報が届かないなどのコミュニケーションコスト。もしくは一定の時期などに資料がまとめてくることによる業務過多。

クラウド会計は、銀行・クレジットカード・Eコマースなど、Webサービスやソフトウェアと連携できることにより、自動仕訳が可能になり作業効率が格段にアップしますし、人的ミスにより仕訳入力の間違いや、インターネット上で顧問先の資料が確認できることで、欲しい資料がタイムラグなしで確認することが可能となります。

しかし、顧問先が利用している金融機関や、ECサイト等で連携ができてない企業があると、結局資料を顧問先から入手し、手入力で仕訳入力をしなくてはなりませんので、効率化が図れません。

マネーフォワード クラウドは、連携できる金融機関先が多く、そのほかECサイト、Eコマース、クレジットカードなども連携可能なツールが必要に多いので、アナログの作業が少なくなります。

自動で預金取引やクレジットカード取引データを取り込むことができるため、仕訳入力にかかる手間を大幅にカットすることが可能です。

仮に連携できてなくてもマネーフォワード クラウドは、CSVやExcel等のインポート形式が多数用意されているために、他のデータから受け入れの間口が広く柔軟性が高いソフトであると思っています。

毎月の取引内容が同じような法人は、自動仕訳の設定を上手く活用することで、大部分の仕訳がボタンを押すだけで仕訳登録が可能になります。自動仕訳についても少しコツはいりますが、基本的には初めて登録した取引が自動仕訳として登録されていくので、登録を重ねて行くことでどんどんと効率化をしていくことができます。

また、従業員によってはスキルや理解度が異なるので、使いこなせている社員が社内でノウハウを共有するなど業務を標準化させるために工夫は必要だと言えます。とはいえ従来の会計事務所に慣れ親しんだ方であれば使いやすいユーザーインターフェースになっていますので、クラウド会計に不安なスタッフでも親しみやすい会計ソフトだと思います。また、型を作るのも毎月の仕訳にかかる手間に比べれば圧倒的に効率的でしょう。

(2) サービスが豊富で、柔軟性がある

マネーフォワード クラウドの会計ソフト以外の機能も豊富で、給与計算や請求管理、経費精算や債務支払、勤怠管理や電子契約まで一定の規模までは同料金の中で使用することが可能です。バックオフィス業務に必要なサービスがパッケージ化されているので、サービスをたくさん使えば使うだけより価値が発揮できると思います。

弊所では、自社の管理で会計・請求書・給与計算・経費精算・電子契約を実際に使用していますので、クライアントが利用する同じサービスについてもサポートができます。例えば、クラウド請求書を使ってくれれば顧問先が追加で請求書を発行した場合にもサービス内で情報を確認できますので、一度月次決算を締めた後でも、追加情報などを確認することができ、それによりお客様とのミスコミュニケーションでの漏れを防ぐことができます。

注意点としましては情報のやりとりについては、必ずしもすべての情報がタイムリーに連携するわけではないので、お互いに一定のルールを設けておかないと事故が発生する可能性があります。

敢えてデメリットもお伝えするとサービスがそれぞれ分かれているので、横櫛が弱いという点があります。例えば、消込の連動もできなくはないのですが、やや使いにくさもあります。

ソフトも万能ではないので、できることできないことをよく理解することが大事です。できない部分については、クライアントとの間でも一定のルールを設けるなど、使い方を工夫することでより便利なソフトとして利用することができます。

また、消込問題に関しては、クラウド型入金消込システム「V-ONEクラウド」など消込と連動できるサービスもあるようなので、外部連携サービスをうまく使うことで解消することも可能です。こうした外部連携により”柔軟性”も魅力の一つだと思います。

外部連携サービスでもう一つ特徴的なものが、自動で領収書がスキャンできる「STREAMED」。

私見ですが、これは2023年10月のインボイス制度開始に伴い需要が拡大するのではないかと思っています。インボイス制度により仕入税額控除の要件が変わった際に、支払先が適格請求書発行事業者として登録されているかということの確認をするかしないかの議論がなされています。実はちょうどつい先日に「STREAMED」に「適格請求書発行事業者の自動判別機能」を実装する予定である旨が公表されました。「STREAMD」が自動的に適格請求発行事業者の判別ができるようになるのであれば、益々ニーズは高まるのではないかと思っています。

また、「STREAMED」では電子帳簿保存法の改正にも対応しており、一定の要件を満たすことで、スキャンデータがあれば原子証憑を廃棄してよくなりました。ただ入力代行のサービスではなく+電子帳簿保存法の対応ができるという部分での付加価値もつきました。

重ねての話となりますが、結局ソフトは使い方が大切であり、ただ入力代行のソフトとして利用するのか、入力代行+インボイス制度+電子帳簿保存法対応へのソリューションとして利用するのか、使い方によって価値は大きく異なると思います。

さらに、マネーフォワード クラウド自体の機能としても、電子帳簿保存法の対応については、直近(2022年4月19日)では、一部の連携サービスにおいてデータ連携機能で証憑データを自動取得できるようになりました。これにより、取引明細の取得に加え、領収書や請求書など証憑データの紐づけが可能になったので別途、領収書データを保存しなくても電子帳簿保存法にも対応もできます。

インボイス制度の導入に向けて、「Peppol(ペポル)」という電子インボイスの国際規格が導入されるという話がありますが、クラウド型のソフトであるマネーフォワード クラウドであれば、APIでの連携が容易であると思います。クラウド型のソフトだからこそ新しい制度や仕組みへの対応スピードに対しても期待感を持っています。

(3) 独立税理士が悩むコミュニケーションコストを解決

独立開業をして顧客とやりとりをする中で、会計事務所と中小零細企業の経営者との間では当たり前の基準が大きく異なることを実感しました。依頼した資料が届かない、必要な情報が届かない、または質問や確認事項に対して返事をもらうまでのタイムラグが発生することや返事が来ないことによるコミュニケーションコストがこの業界の大きな課題だと感じています。

私が、マネーフォワード クラウドを導入して感じたメリットの一つが、この顧客とのコミュニケーションコストが押さえられたことです。クラウド会計で口座の連携をしていたり、請求管理、給与計算、経費精算などのサービスを利用して貰うことで、コミュニケーションを取らなくても必要な情報を会計事務所側で確認することにできます。

また、このサービスを利用することで効率的に経理代行(請求管理・支払管理・経費精算・給与計算)のサービスを提供することもできます。この作業をしていれば通常の記帳代行に加えて経理代行というプラスαのサービスを提供できる訳ですが、弊所からするとコミュニケーションコストをカットできることで、通常の記帳代行業務については効率化の実現に繋がっているわけです。

これは、ある顧問先では会計サービスに加えて請求管理サービスを使う、別の顧問先では支払管理サービスだけを使うなどアレンジを利かせることができるので、顧問先のニーズに合わせたサービス提供が可能となります。

「アナログ」と「デジタル」の二律背反。独立開業をする上で大切になること

税理士として独立開業をするにあたり、差別化を図っていくことがブランディングにおいても大切なことだと言えます。

そのため、何かに特化をしていること、得意分野について模索されている方もいるのではないでしょうか。

特に、クラウドへの対応やITのリテラシーは税理士業界全体で足りていないと私自身も思っています。その中で、クラウドで対応ができるということは長らく言われていますが、ニーズとしては高いでしょう。

しかし、独立開業をして成功させたいのであれば、<顧客の真のニーズに寄り添えるか>が一番大切になってきます。

昨今では、デジタル庁も発足していたり、IT導入補助金の対象範囲が広がってその使い勝手が良くなったりなど、明確に国や行政がITへの投資を推奨しています。裏を返せば、まだまだ国全体でデジタル化が進んでいなく、世の中全体を見渡した時に、ITに詳しくない人のほうが多いのではないでしょうか。

時代は二極化しており、デジタルに強い方はSaaSソフトやAPI連携を使いこなしてどんどんツールのレベルも高くなってきている一方、使えてない人は旧型のシステムでも使いこなせていない方も多くいらっしゃると感じます。

こちらがITに詳しくても、顧問先にIT用語が共通言語として伝わらなければ理解をしてもらえないので本末転倒です。

「デジタル」化とは本質的には、旧来の「アナログ」の作業フローを様々なITツールを使って、そのフローをショートカットするところにあると思います。

そのため、そもそもの「アナログ」の作業フローを整理することで、何を目的とした作業なのか・どこに課題があるのかを理解して、その上でその作業をITツールも活用して効率化することで、顧問先と一緒にIT化を進めて行くことが重要であると思います。

最も進んだ「デジタル」化はあらゆる作業を自動化することにありますが、そのためには様々な業務を平準化しなければならず、またそのためにはイレギュラーを極力カットしなければなりません。

しかし、いきなり全ての業務を「デジタル」化を使用としても、イレギュラーを排除することができず、大きなストレスを感じたり逆に非効率になってしまうこともあります。

マネーフォワード クラウドは様々なサービスから使いたいものを選定して使っていくことができますので、いきなり全てを使った高度な「デジタル」化をするのではなく、会社のステージに合わせて使い方を変えていくことができます。

感覚的にはまだまだここのサービスは足りていなく、税理士として独立開業していくのであれば、IT化にはまだまだ大きな需要があると思います。

その中で、ITが苦手な顧問先があるのであれば、なぜ使えないのかの事情や気持ちを分からないといけない。そして、目的を設定してあげて、デジタル化ができるよう寄り添ってあげることが大切です。

デジタル庁の構想は、<誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化>です。

マネーフォワード クラウドは初心者から上級者まで幅広いユーザーに向けて使うメリットがあるソフトで、正にITのリテラシーが低い初心者に対しても取り組みやすいソフトであると思います。

「アナログ」と「デジタル」の双方の視点を持ち、顧客に合わせて柔軟な対応をしていくことを、時代は必要としていると感じます。マネーフォワード クラウドを使いながら、法改正など時代の流れにも柔軟に対応し、自分たちのITリテラシーも向上させていくことで、時代に取り残されずに顧問先と一緒に成長して行くことが可能であると思います。

株式会社マネーフォワード

●設立

2012年5月

●所在地

東京都港区芝浦3-1-21 msb Tamachi 田町ステーションタワーS 21F

●企業URL

https://biz.moneyforward.com/

 

●監修者情報

アンパサンド税理士法人 代表税理士 山田典正

大学を卒業後に税理士試験に専念した後、平成20年1月に都内大手税理士法人に就職。 個人や中小同族会社の税務相談や経営周り全般の相談から大手上場企業の税務相談まで幅広い分野で活躍。事業承継、組織再編、連結納税、国際税務、事業再生と多岐に渡るコンサルティング実績がある。また、相続申告業務についても多数の実績を有する。
平成27年1月 山田典正税理士事務所として独立。独立後も、補助金支援において創業補助金採択、ものづくり補助金採択の実績を有し、生産性向上設備投資促進税制の申請支援、資金調達支援、事業承継支援、上場企業の税務顧問等、多数の実績を有する。

事務所HP
https://ampersand-tax.jp/

 


個別転職相談(無料)のご予約はこちらから
いつでも簡単に。さらに見やすくなったKaikeiZine公式アプリKaikeiZineアプリ

最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。

 

◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします

メルマガを購読する