次に、保存対象となる帳簿書類の種類から帳簿書類等の保存方法を見ていきたいと思います。帳簿から見ていくと、自己が最初から一貫してコンピュータで作成した帳簿は、印刷した紙の保存でも、そのオリジナル電子データ保存でも可能です。しかし、帳簿でも手書の部分があるなど一貫してコンピュータで作成していない帳簿は電子データによる保存はできませんので、紙による保存となります。
次に書類は自分で作成したものと、取引相手から受領したものの2つに分けて考えます。
A.自分で作成(発行)したもので、帳簿同様、自己が一貫してコンピュータで作成した決算関係書類や請求書、領収書などの取引関係書類は、印刷した紙の保存でも、そのオリジナル電子データ保存でも可能です。しかし手書の部分があるなど一貫してコンピュータで作成していない書類は電子データによる保存はできませんので、紙による保存となります。この紙はスキャナ保存の対象となります。
B.取引相手から受領した紙の書類については、そのまま紙で保存するか、スキャンして電子化文書とした電子データを保存要件にしたがって保存すれば、原本の紙は廃棄することができます。取引相手から電子データで受領すれば、下の電子取引の取引情報となります。
1番下は書類のうち、取引関係書類について、メールで請求書を受領したり、ネットで購入したりしたものなどは、電子取引の取引情報となり、電子でやりとりしたものは、その取引記録を電子データで保存しなければなりません。
これまで紙に出力して経理処理に回し、取引データは一括管理していなかったものが、今後、税務調査で取引データの提示・提出を求められ、保存要件にしたがって保存せず、税務職員の求めに応じられなかった場合には、保存書類が保存されていないことになり、青色申告の承認取消事由になったり、経費として認められなかったり、消費税の仕入税額控除が認められなかったりする可能性があります。
したがって、経理事務のワークフローの中に、取引データを保存要件にしたがって保存する事務処理を織り込む必要があります。
経理事務のデジタル化について検討をする場合には、まずどこの部分についてデジタル化を図ろうとしているのか整理して、電子帳簿等保存制度のどの区分について検討が必要か見極めることが必要です。
(出典:国税庁 電子帳簿保存法一問一答(電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係)問2)
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