雇用調整助成金は、企業が業績悪化などで休業をする際に、従業員の雇用維持のために休業手当などが助成されるものです。新型コロナウイルス感染症の影響による事業活動の縮小にあたって、雇用調整助成金の特例が設けられています。この特例は期間限定の措置ですが、感染症流行の長期化に応じて、一部制度の変更をしながら段階的に延長されてきました。先日、この特例措置が2022年9月末まで延長されることが発表されました。そこで、雇用調整助成金の特例の最新情報を見ていきましょう。

雇用調整助成金の特例措置

2022年3月以降の休業について、雇用調整助成金の原則的な特例措置として、助成額・助成率は次のようになっています。

・中小企業

助成額(上限):9000円(従業員1人・1日あたり)

助成率:9/10

・大企業

助成額(上限):9000円(従業員1人・1日あたり)

助成率:3/4

ただし、2021年1月以降で会社都合による解雇などを行っている場合は、助成率は中小企業で4/5、大企業で2/3に下がります。

さらに、特に業績が厳しい企業などに対して、次のような特例措置が設けられています。

〇業況特例

最近3か月の売上高が前年、前々年または3年前との同期比で30%以上減少している事業者が対象となります。売上高以外に、受注量などの生産指標を用いることも可能とされています。

業況特例に該当する場合、中小企業・大企業ともに助成額と助成率が次のように引き上げられます。

助成額(上限):15000円(従業員1人・1日あたり)

助成率:10/10

ただし、2021年1月以降で会社都合による解雇などを行っている場合は、助成率は4/5に下がります。

以前は、業況特例に一度該当すれば、その後の月も業況特例が適用されましたが、2022年4月以降は該当する場合は毎回書類を提出する必要があります。

〇地域特例

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を実施する区域にて、営業時間短縮の要請などに協力する事業者が対象となります。

助成額や助成率は、業況特例と同じです。

地域特例の対象となる地域や期間については、下記の厚生労働省のサイトを参照ください。

「緊急事態措置及びまん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について(区域一覧)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/cochomoney_00002.html

ここまで見てきました特例は、正社員だけでなく、パートやアルバイト従業員の休業も対象になります。

〇教育訓練加算

休業をするにあたって、単に従業員を休ませるのではなく、能力向上などを目的として教育訓練を行った場合は、助成金が加算されます。加算額は次のとおりです。

・中小企業:2400円(従業員1人・1日あたり)

・大企業:1800円(従業員1人・1日あたり)

なお、教育訓練加算は、正社員(正確には雇用保険被保険者)のみが対象になります。