スマホが当たり前の時代。アナログ商品の多くが厳しい状況にいる中、新たな側面を切り開き始めているものがあります。
「儲けのしくみ・ビジネスモデル構築の極意」、第59回のテーマは「文具」です。

文具の主な種類と市場規模

はじめに、文具の主な種類とその市場規模についてざっと確認しておきましょう。

まずは種類です。

文具にはざっと以下のようなものがあります。

個別の説明は不要でしょう。

家、オフィスなどではすっかり場に溶け込んでいるものばかりです。

一方、文具全体の市場規模は約4000億円。

主なカテゴリーの推移が下図の通りです。

単位:百万円

出典:経済産業省生産動態統計:文具月報(販売金額)2021年度(確報版)

 

経済産業省生産動態統計によると、水性ボールペンが約550億円。マーキングペンが約420億円と突出。そのあとに油性ボールペンや、シャープペンシルが続いています。

直近の5年間を確認すると、全体的に2020年まで減少傾向でした。

しかし、昨年は一転、増加傾向に。後述するように、旧来からある「ツール」や「オフィス用品」としての文具だけではなく、別の側面による価値観の打ち出しによって新たな可能性を生み出し始めています。

文具の機能と新たな可能性

文具の機能には少なくとも次のようなものがあります。

書くものはボールペンや鉛筆、包むは封筒、綴じるはファイルといった具合です。

書く・描く、測る、消す、記録するといった機能はデジタル化の影響を大きく受けていますが、それら以外の、例えば何かを切る、穴を開けるといった「情報処理を超えた物理的な動作」に該当するものはいまだ置換えの対象にはなっていません。

しかし、上述の図にもあるとおり、ボールペンなど「書く・描く」ものなど、いわゆる筆記具の市場規模が特に大きいこともあって、文具全体へのデジタル化の影響はやはり少なくありません。

残念ながら、今後も時計の針が戻る可能性はほとんどないでしょう。

とはいえ、そうした背景の中で上記の機能を超えた別の付加価値によって、一定のビジネス成果を挙げている文具も登場しています。

  • 日本刀鉛筆/学研ステイフル

https://onl.tw/Kj3raKd

鍔と柄が鉛筆キャップになった鉛筆セットです。

長刀と短刀の組み合わせがまさに日本刀そのものです。

鉛筆としての機能はそのままに、鉛筆全体を日本刀に見立てたことで、置くだけで見て楽しめる、遊び心に繋がる価値を引き出しています。

  • 絵写経/一般社団法人 全国寺社観光協会

https://eshakyo.jp/

写経と、仏さまの絵を写す「写仏」がセットになった新しい写経です。

文字だけでなく絵、さらに塗り絵をすることで前頭前野が活発になり、脳のトレーニングに効果があるという文具の領域を超えた商品です。

  • ミリケシ/コクヨ株式会社

https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/eraser/mirikeshi/

メディアでもたくさん取り上げられた消しゴムです。

消しゴムを利用する際にはいくつかの問題がありました。消さなくてもいいところまで消してしまうというのもその1つ。その悩みを見事に解消したのが、この商品です。

ノートの罫線の幅などに合わせた5つの消し幅の選択によって、消したい部分だけを見事に消すことができる優れものです。

  • ドリーミィ まくらクッションノート/株式会社 シンビジャパン

https://onl.sc/1y2BeXw

こちらも、もはや文具の領域を超えた発想です。

ノートの表紙が柔らかいクッションになっており、そのまま顔をつけて寝ることができるという便利な機能を持っています。

寝るだけではなく、マウスパッドとして使うことも可能。

単なるノートを超えた見事な文具です。

  • くみかえノート/ぺんてる株式会社

https://www.pentel.co.jp/products/degitalstationery/kumikae-note/

最後は、サインペンやボールペンで有名な「ぺんてる」が提供するアナログとデジタルが融合した「デジタルふせん」です。

3✕3のマス目に並んだ紙のふせんに書き込んだアイデアを、専用アプリで拡張などの編集ができる優れものです。

紙のふせんは意外なほど場所を取りますが、これがあればスマホやPC上での展開も可能に。アイデア出しの勢いがさらに加速しそうです。

まとめ

以上、文具について市場規模や種類、そして本来の機能とは別の可能性について事例を交えながらご紹介しました。

今や、あらゆるビジネス分野が成熟領域にあります。

しかし、ご紹介したような「従来の機能を超えた」切り口を加えることで、別の価値を引き出すことができます。

ぜひ、いまの業界においてもひと味違う可能性がないか検討してみてください。新しいカテゴリーを生み出すような驚きの発見に出会えるかもしれません。

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