「全国旅行支援」が10月11日から始まりました(東京都は10月20日から)。旅行代金の40%が補助されます。このときの事業者側、利用者側の税金の取扱いについて確認したいと思います。
10月11日より、全国旅行支援(全国旅行割)が始まりました。割引率は40%(上限あり)で、地域クーポンも最大3,000円もらえます。早速、私は旅行の予定を入れました。税務処理について確認してみましょう。
事業者側の処理はどうなる?
全国旅行支援は、宿泊や日帰りの旅行を対象に、旅行代金の40%の給付を行うもので、その分が旅行代金に充当されることになります。
1人1泊あたりの割引上限は、交通費付き旅行だと8,000円、宿泊のみだと5,000円です。
さらに、お土産などに使える地域クーポンが、1人1泊につき平日3,000円、休日で1,000円もらえます。
例えば2泊3日40,000円のパッケージツアーの場合、旅費が16,000円(40%)オフとなり、さらにクーポンが6,000円(平日の場合)もらえます。
つまり22,000円もお得になるのですね。
これは利用したい…!!
ということで、11月の1泊旅行を企画しました(笑)(平日じゃないけど)。
さて、この全国旅行支援、各県が、旅行代金の40%を負担するわけですね。
得するのは旅行者で、事業者は損も得もしません。
事業者がもらうお金はいったん少なくなりますが、後で県からもらえます。
つまり、給付を受けるのは旅行者ですが、旅行者が県に申請して給付金をもらうのでなく、宿に割引後の(値引きされた)宿泊代等を支払い、事業者が、県から給付金を受け取る形になります。
事業者の売上(宿泊代など)の金額が変わるわけではありません。
例えば、11,000円の宿泊旅行で考えてみましょう。
40%割引するので、宿泊客から6,600円受取り、あとで、県から4,400円もらいます。
<ホテル事業者の仕訳例(税抜処理)>
◆旅行/宿泊時
借方 | 貸方 | ||
現金等 | 6,600 | 売上 | 10,000 (消費税課税) |
売掛金 | 4,400 | 仮受消費税 | 1,000 |
◆県からお金受取り時
借方 | 貸方 | ||
現金等 | 4,400 | 売掛金 | 4,400 |
売上はあくまでも11,000円です。
売上が6,600円になるわけではない、つまり値引きになるわけではないということです。
持続化給付金や時短協力金のような、雑収入でもありません。
次に、クーポン券を配布したときはどうでしょうか。
ホテルなどの事業者がクーポン券を配布したときは、県の代わりに配布しただけで、損も得もしていないし、資産や負債の増減もないので、処理はありません。
<ホテル事業者の仕訳例(税抜処理)>
◆クーポン券配布時
借方 | 貸方 |
仕訳なし |
さらに、お土産屋さんが3,300円のお土産を売り、クーポン券3,000円、現金300円を受け取ったときはどうでしょうか。
この場合も、売上はあくまでも3,300円となります。
<お土産屋さんの仕訳例(税抜処理)>
◆販売時(クーポン受取り)
借方 | 貸方 | ||
受取商品券等 | 3,000 | 売上 | 3,000 (消費税課税) |
現金 | 300 | 仮受消費税 | 300 |
◆クーポン券を精算し、県からお金受取り時
借方 | 貸方 | ||
現金等 | 3,000 | 受取商品券等 | 3,000 |