今年も猛威を振るった新型コロナウイルス感染症。8月には全国での感染者数が20万人を超える日が続きました。ただ、感染しても即入院とはならず、自宅や宿泊先で療養する人が大半でした。気になるのが「みなし入院」の保険金や給付金の扱いです。
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コロナ「みなし入院」の保険金・給付金とは
新型コロナウイルス感染症がまん延して早2年が経過しました。
当初、感染者数は数百人程度。
しかし今年になり感染者数が急増しました。
8月にはピーク時でコロナ陽性者が25万人を超えたのです。
【引用元】新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(厚生労働省)
従来は「感染すると即入院」でした。
しかし、感染者数が爆発的に増えれば病院も受け入れきれません。
そこで、よほど重症でない限りは、宿泊療養か自宅療養となりました。
問題は「お金」です。
自分か家族かが感染すれば、思うように働けません。
在宅ワークが可能な職種でも、40℃近い高熱になれば業務をこなせなくなります。
仕事ができなければ、その分収入は減少します。
しかし、自宅や宿泊先での療養は正規の入院ではないので保険が下りません。
そこで各保険会社が提案したのが「みなし入院」の保険金や給付金でした。
みなし入院とは、「新型コロナウイルス感染症と診断されれば、自宅や宿泊先での療養でも入院とみなす」というものです。
入院とみなされれば、保険金や給付金の対象となります。
結果、コロナだと診断されて、保険金や給付金を多くの人がもらえるようになりました。
なお、この「みなし入院」は現在、重症化リスクの高い人に対象が狭められています。
お金が下りて助かる人が増えた一方、悪用するケースが後を絶たなかったからです。
「みなし入院」保険金・給付金のナゾ(1)税金はかかるのか
ここで気になるのが「みなし入院による保険金や給付金を税法上、どう扱うか」です。
もらったお金に、所得税や住民税がかかるのでしょうか。
実は、みなし入院で受け取った保険金や給付金に所得税や住民税はかかりません。
所得税法第9条第1項第18号及び所得税法施行令第30条第1項により、非課税所得と定められているからです。
そのため、確定申告はいりません。
【引用元】No.2011 課税される所得と非課税所得(国税庁)を加工して作成(赤枠部分が所得税法第9条第1項第18号)
【引用元】所得税法施行令(e-gov)
なお、保険金や給付金の受取人がコロナで亡くなった場合は別です。
受取人が使い切らずに残したお金や相続人が代わりに受け取ったお金は、本来の相続財産として相続税の対象となります。