優良電子帳簿の保存要件⑵では、「優良な電子帳簿」の対象となる帳簿について説明します。
【対象となる帳簿】
対象となる帳簿は、所得税、法人税及び消費税に関する帳簿です。
具体的には次の個人・法人の青色申告者及び消費税事業者の備付ける帳簿(「特例国税関係帳簿」といいます)を対象としています。
1 所得税
所得税については、所得税法施行規則第58第1項(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿とされており、仕訳帳(すべての取引を借方及び貸方に仕訳した帳簿)、総勘定元帳(すべての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿)その他必要な帳簿を備え、財務大臣の定める取引に関する事項を記載しなければならないとされ、財務省告示において帳簿の各区分に対する記載事項が定められています。
2 法人税
法人税については、法人税法施行規則第54条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿とされており、仕訳帳(全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿)、総勘定元帳(全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿)その他必要な帳簿を備え、別表21に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならないとされ、別表21において帳簿の各区分に対する記載事項が定められています。
これらの保存しなければならない帳簿に含まれない例として、日々の在庫管理や棚卸表作成時に参照する目的で商品の有高を記録している「商品有高帳」があります。この帳簿に記載されている商品の有高は、別表21に定められている帳簿の記載事項には含まれていないので、取引に関する事項として他の帳簿の記載事項を「商品有高帳」において記載・管理していない限り、「商品有高帳」が優良な電子帳簿の要件を満たして保存等をしていなくとも、それを理由として過少申告加算税の軽減措置が受けられなくなることはありません。
3 消費税
(1) 消費税法第30第7項(仕入に係る消費税額の控除)に規定する帳簿として、事業者が課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿が定められています。
(2) 消費税法第38条第2項(売上に係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除)に規定する帳簿として、事業者が売上げに係る対価の返還等をした金額の明細を記録した帳簿が定められています。
(3) 消費税法第38条の2第2項(特定課税仕入に係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除)に規定する帳簿として、事業者が特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額の明細を記録した帳簿が定められています。
特定課税仕入れとは、例えば、ネット回線を通じて国外の事業者から国内の事業者・消費者に対して行われる電子書籍の配信等の役務の提供などをいいます。
(4) 消費税法第58条(帳簿の備付け等)に規定する帳簿として、事業者が帳簿を備え付けて、これにその行った資産の譲渡等又は課税仕入れ、もしくは課税貨物の保税地域からの引取りに関する一定の事項を記録し、かつ、その帳簿を保存しなければならないとされている帳簿が定められています。